ビールの副産物を紙コップの原料にアップサイクル
サッポロホールディングスのグループ企業であるサッポロビールは2024年11月1日、静岡県のプラス産業と共同で、ビール類の製造過程で生成される副産物のモルトフィードを原料の一部に取り入れアップサイクルした紙コップ「もるたん(maltum)」を開発したと発表した。 この紙コップは「IAIスタジアム日本平」(静岡市清水区)で同月3日に行われる清水エスパルスの試合会場で、ノンアルコールビールテイスト飲料である「サッポロプレミアムアルコールフリー」の容器に試用する。
試用後はトイレットペーパーにリサイクル
もるたんはパルプモールド製の紙コップで、パルプモールドの成形の際にビール類の製造過程で発生するモルトフィードを混ぜ込んでいる。このことから、モルト(malt、麦芽)とタンブラー(tumbler)を掛け合わせたユニークな名が付けられた。 パルプモールドとは木質繊維(パルプ)を主原料として、水に溶かした木質繊維(パルプ)を乾燥させてできる紙製の成形品だ。プラスチック包材の代替品として使用されるなど、環境に配慮した包材として注目を集めている。もるたんに使用されるモルトフィードは、サッポロビールの静岡工場でビール類を製造する際に排出されたもので、それをプラス産業に供給して製造加工し、もるたんでアップサイクルされる。 今回は、静岡県を拠点に活動するサッカーチームである清水エスパルスの協力により、同チームの試合会場でもるたんを試用することになった。試用されるもるたんの容量は14オンス(約414ml)で、対象商品はサッポロ プレミアムアルコールフリーとなる。試用後のもるたんは従来の紙コップとともに分別回収され、トイレットペーパーにリサイクルされる。そのため、原料調達から製造、使用、リサイクルまでを地域一体で行う取り組みとなっている。今回の試用による顧客とのコミュニケーションを通じ、もるたんの今後の実用化を検討していく。 サッポログループは、サステナビリティ方針「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」を掲げ、サステナビリティ重点課題の1つとして「循環型社会の実現」に取り組んでいる。同社では「サッポログループ容器包装ビジョン」も掲げ、化石燃料由来のワンウェイプラスチック製の広告品類を2030年までに原則廃止することとし、環境に配慮した取り組みを推奨している。
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