<明秀旋風’22センバツ>選手紹介/3 伊藤和也捕手(2年) 兄の思い胸に全力プレー /茨城
「さあ盛り上がっていこう」。ノックをする坂口拓也部長の脇で、副将が声を張り上げてグラウンドに活気を生み出していく。 捕手を始めたのは小学4年だった。「一人だけ(野手の)向いている方向、グローブも違ったから、特別な感じがした」。チーム全体を冷静に見ることを意識し、練習中の返事が小さい部員には積極的に声をかける。 下位打線ながら、勝負強さも見せる。秋季関東大会初優勝が懸かった山梨学院(山梨)戦で、同点で迎えた七回裏2死二、三塁の好機に2点適時三塁打を放つ。途中降板したエース・猪俣駿太(2年)の連投の疲れをミット越しに感じていて、奮起の一打が試合を決めた。 小学生の時に一緒に野球を始めた二つ上の兄達也さんは、青藍泰斗(栃木)で甲子園を目標にしていた。だが、新型コロナウイルスの影響で「最後の夏」は大会が中止に。挑む機会さえも奪われた兄からは、「甲子園に行ってほしい」と託されていた。「野球を始めるきっかけをくれたのはお兄ちゃん。感謝の気持ちを込めて全力でプレーしたい」=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ■人物略歴 ◇伊藤和也(いとう・かずや)さん 栃木・明治中出身。175センチ、68キロ。右投げ右打ち。