トランプ氏、NY資産差し押さえも-5.4億ドル保証金支払いで正念場
(ブルームバーグ): 不倫関係にあったとされる元ポルノ女優への口止め料支払いを巡る業務記録改ざんで起訴されたトランプ前米大統領は、起訴を不服とする申し立てを行い、マンハッタンの裁判所で25日に審理が行われる。トランプ氏は出廷を予定するが、この日は資金繰りでも正念場を迎える。
ニューヨーク州裁判所は今年2月、トランプ氏らが資産価値を偽り不当な利益を得たと認定し、同州への4億5400万ドル(約687億円)の支払いを命じた。期限の25日までに保証金の支払いが行われない場合、ニューヨーク州が一部資産の差し押さえ手続きを開始する恐れがある。
トランプ氏は数週間にわたり上訴する間の保証金を賄う十分な現金がないと訴えてきた。裁判所が命じた支払額の120%相当、約5億4500万ドルを保証金として支払う必要がある。
「約5億ドル」の現金の持ち合わせがあると同氏は先週語ったが、保証金をカバーし、肥大化した不動産会社の経営を続けるために十分な手元資金を残すには、10億ドル近い準備が必要と言う。
トランプ氏を訴え、民事訴訟で勝利したニューヨーク州のジェームズ司法長官は、同氏が保証金を払い込まない場合、資産を差し押さえると警告。25日にも手続きに着手する可能性があるが、上級審の判断を待つことも考えられる。
マンハッタン近郊のウェストチェスター郡で司法長官は既に判決の登録手続きを行っており、同地のトランプ氏の資産が危険にさらされる兆候と受け取れる。
法的費用増加やホワイトハウス復帰のための金のかかる選挙キャンペーンに加え、多くの法廷闘争の負担がトランプ氏の資金繰りを圧迫している。
名誉毀損(きそん)で訴えられた損害賠償訴訟で同氏は今年1月に敗訴し、マンハッタンの連邦地裁陪審は8330万ドルの支払いを命じたが、評決を不服として上訴する間の保証金として9160万ドルを納入せざるを得なくなった。3州とコロンビア特別区では四つの刑事事件で起訴されている。