北陸・竹田海士

　2024年が幕を開けた。昨年2023年、高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。 【一覧】北陸vs丹生のスタメン 【選手権福井県大会準決勝・北陸vs.丹生】 　追い詰められた時に、どこまで集中力を発揮することができるか。高校野球では、ここまで多くのドラマが演じられてきた「9回2死からの攻撃」。福井県の準決勝でも、そのドラマが起こった。 　8回を終え、丹生が2対1とリード。9回表、北陸は先頭打者が安打で出塁すると、安打と内野ゴロで、2死三塁としていた。三塁には走者がいるが、丹生はあと1人を抑えれば決勝に進める。追い詰められた北陸だが、打席の中浦 進優内野手（3年）は冷静だった。カウント0－2と追い込まれたが、外角の直球を2球見極めると、甘く入った変化球を中前へ運んだ。まさに起死回生の同点打。後続の打者を勇気づけた。 　その後、ひとつのプレーが流れを変えることになる。続く打者の左前打で一、二塁となるかと思いきや、一塁走者の中浦が一気に三塁を陥れた。丹生の左翼手のポジションが深かったこと、左翼手が前に出てきて打球を処理しなかったことなど、わずかな「スキ」をついた思い切った走塁だった。2死一、三塁と勝ち越しのチャンスが広がり、さらに後続の打者を勇気づけた。 　その後、四球で満塁となり、死球で押し出しとなり逆転につながった。途中からマウンドに上がっていた竹田 海士投手（2年）の左前打でさらに2点を追加した北陸は、その裏を抑えて逆転勝ちした。 　決勝も福井商との接戦を制して春夏甲子園への切符を手にした北陸。準決勝のミラクル逆転劇がその原動力となったのは明らかだった。 　北陸は新チームとなった秋季大会でも福井県を制した。福井では敦賀気比を筆頭に、近年各校のレベルがどんどん上がっている。24年も激しいバトルが繰り広げられそうだ。