「親の介護」高齢者施設の種類や費用はどのくらいかかるの?【専門家が指南】
親の“これから”を考える際、気になるのが「高齢者施設」という存在。いざというときに慌てることなく、親子ともに納得のいく選択ができるよう、今から知っておくべき&準備しておきたいことと心構えを、専門家が指南! そもそも、高齢者施設の種類と費用はどのくらいかかるのか。 年老いた親との付き合い方・介護について
高齢者施設の費用はいくらくらいかかる?
公共タイプの特養、老健、介護医療院は、入居時無料で月額利用料は約5万~17万円。ケアハウスも、所得によっては入居時無料で、月額利用料は「一般型」は約6万~15万円、「介護型」が約16万~20万円と比較的手ごろ(いずれも所得によって異なる)。ゆえに人気が高く、特養は待機期間が数年ともいわれるが、「都心はその傾向が強いですが、郊外や地方の特養だと即入居できることもあります」(岡本さん)。 対して民間タイプは、手ごろなものから超高額施設までさまざま。「有料老人ホームは、『住宅型』『介護付き』問わず、施設によって利用料に幅があり、なかには、億単位の高額な一時金が必要なところもあります」(小菅さん)。 サ高住は、入居時に必要なのは敷金だけで、毎月の支払いも家賃のみ。ただし、「自立者向け」も「要介護者向け」も、設備のグレードが高く、受けられるサービスが充実している場合は高額になる。認知症高齢者グループホームは、入居時約0~100万円、月額約12万~40万円が目安。
【施設の種類】
■シニア向け分譲マンション 一般的な分譲マンションとの違いは、バリアフリー化などシニア向けに造られていること。入居条件もない。 ■有料老人ホーム 原則として外部の介護サービスを利用する「住宅型」と、施設が介護サービスを提供する「介護付き」があり、入居対象の範囲は施設によって異なる。 ■サ高住(サービス付き高齢者向け住宅) 高齢者向けの賃貸住宅。「自立者向け」と「要介護者向け」があるが、後者が約8割を占めている。 ■認知症高齢者グループホーム 認知症の高齢者のみを対象とし、見守り体制が手厚い。家庭的雰囲気を重視し、少人数で生活を送る。 ■ケアハウス 家庭環境や経済的理由で家族との同居がむずかしい高齢者や、独居生活に不安がある高齢者が対象。自立者向けの「一般型」と、要介護者向けの「介護型」がある。生活保護受給者でも入居が可能。 ■老健(介護老人保健施設) 病気や怪我で入院し、退院後すぐに自宅生活がむずかしい高齢者向け。在宅復帰が目標のため、入居期間は最大でも6カ月。 ■介護医療院 胃ろうや痰の吸引など、常時医療処置が必要な要介護者向けの病院的な施設。長期間の療養生活や終末期医療にも対応。 ■特養(特別養護老人ホーム) 原則要介護3以上の人が対象で、看取りも行う。専門的医療は外部機関の利用が基本だが、訪問医療が受けられる施設も。 ※参考資料提供/シニアの暮らし研究所 ◇教えてくれたのは… ・シニアの暮らし研究所 岡本弘子さん 長年、高齢者施設の入居相談を行い、講演会や書籍監修など幅広く活躍。シニア住宅相談員の育成にも力を注ぐ。『人生最後に失敗しない! イラストと図解でよくわかる 高齢者施設の選び方』(宝島社)なども監修。 ・「LIFULL 介護」編集長 小菅秀樹さん 日本最大級の老人ホーム検索サイト「LIFULL 介護(ライフルかいご)」の編集長。テレビ・ラジオで介護施設の解説、講演など活動は多岐にわたる。YouTubeやSNSでも介護情報を積極的に発信している。 取材・原文/村上早苗 イラスト/小笠原晴子 ※エクラ2024年11月号掲載