「欧州で、心がちょっと広くなりました」DPワールドツアー3人目の日本人勝者 星野陸也”の “これまで” と “これから” を聞いた
欧州でもオタク炸裂!
英語が話せる薬丸龍一キャディとは、海外参戦を見越してタッグを組んできた。鉛が剥がれるのが嫌でアイアンカバーを1本置きくらいに付けているが、「欧州ツアーでは有名になっていて、コースで落としても『君のでしょ』って、皆が拾ってきてくれるんですよ(笑)」
22年、ゴルフの聖地で行われた全英オープンでも、星野はウェイティング3番目でも迷わず飛んだ。「ギリギリ入れるかどうかでしたけど、セントアンドリュースには、お金がかかっても練習ラウンドだけになっても、行くだけでも価値があると思いました」。 この挑戦する姿勢が、星野にいい流れを呼び込んできた。 「僕は1シーズン目、出場ランクが29番目で出場できる試合が少なかったんですが、初戦のドバイで6位になり出場ランクが十何番目に上がった。でもリランキングが先延ばしされて……それでも結局、確定する最後の試合、ドイツ(BMWインターナショナルオープン)で3位に入ったので、一気に出場ランクが6番目に上がったんです。その後はスケジュールが組みやすくなりました。つなぎ、つなぎでここまで来ました。大事なところで上手くいった感じです」。 上手くいったというのは、成長にほかならない。「風や芝に対しての対応力がつきましたし、メンタル面もです。僕は結構突き詰めるタイプなんですけど、海外ではゴルフ以外でも大変なことが多いので、いろんな意味で許せるようになったというか、心がちょっと広くなったというか。ゴルフ以外でも、いろいろな感覚が増えましたし」。 技術面はここ数年の準備が功を奏した。「ちょうどコロナ禍にスウィング改造を始めた。スウィングもクラブも進化していくなかで、自分の打ち方が少し古かったので思い切って。それがある程度ハマって日本で賞金ランク2位になれた。そこからまた海外でも対応できるスウィング、トレーニングに変えたんです。欧州参戦後もマイナーチェンジを繰り返した。海外は地面が硬くて芝の1本1本が太く抵抗が大きいのでクラブの入れ方も変えなければいけない。しっかり試合で再現できるように練習して、昨年の後半戦くらいから落ち着いてきました」 コーチがいない星野。スウィング改造は一人で行う。それも楽しみのひとつだという。 「欧州の選手やコーチにも『僕のスウィングどう? 』と聞いたり、選手を見たりして、確率がいいスウィングを取り入れる。たとえば今まで背筋を使っていたのをお腹のほうを使って打ったりとか、自分のなかで何パターンか打法があって、芝質によってそれを使い分けたりするんです。これがまた面白いし、上手くいくともっと面白い。何より自分のゴルフを楽しむということが一番ですから」。 ヨーロッパ参戦は、仮にシードが取れていなかったとしても、かけがえのない宝になったという。 「最初は怖いという感覚もありましたけど、今は楽しい。世界中のコースを回れるし、いろんな国の人や文化とも触れ合えますから」。