迫る「72時間」救助急ぐ 輪島・倒壊ビル「中に人が」
生存率が著しく下がるとされる「発生後72時間」が4日午後に迫る中、能登各地で3日、警察官や消防、自衛隊員が救出活動を続けた。「人が中にいる」。輪島市河井町の倒壊ビル現場では、冷たい雨が降り、「ドン」と下から突き上げるような余震が続く状況で、大阪から来た消防隊員が懸命に救助を急いだ。 輪島塗の五島屋の7階建てビルが横倒しになった現場では、ビルとがれきの間に女性が取り残された。輪島市内を巡回していた大阪府の消防隊が朝、ビルの隙間でがれきを自ら撤去していた住民男性から女性が取り残されていると聞き、午前10時に救助活動を始めた。 ビルはさらに倒れる危険性があり、救助は難航。約1時間後に起きた震度5強の地震では、ビルはぐらつき、現場の隊長から「退避」と大きな声で叫んだ。 隊員は倒れたビルの隙間から駆け出し離れた。建物を支えるレスキュー用の金属製の支柱2本は大きく曲がり、代替品を設置して救助を再開した。 その後も緊急地震速報や余震のたびに隊員がその場を離れて中断。建物の状況を見ながら再開し、細心の注意を払ってがれきを撤去していった。 消防隊員によると、がれきの隙間から女性の体の一部を確認しているが、声掛けに反応はないという。午後7時現在、雨の中で救助活動は続いており、女性の家族らが救助の様子を見守った。 付近住民によると、がれきに残されている女性は、家族とともに飲食店を切りもりしていた。住民は「40代くらいで、お客さんに気さくに接してくれる人。何とか助けられないか」と話した。 ■能登半島地震ドキュメント ▽1日 16:06 能登地方でM5.7震度5強を観測 16:10 能登地方でM7.6震度7を観測 16:21 輪島港で1.2㍍以上の津波を観測 16:22 能登地方に大津波警報、加賀地方などに津波警報が発表 16:45 石川県が陸上自衛隊に災害派遣の準備を要請 17:24 石川県が陸上自衛隊に自主派遣の検討を依頼 19:09 金沢港で90㌢の津波を観測 ▽2日 1:30 石川県が県内の死者数4人と発表 8:00 北陸道白山IC~金沢東ICが上下線とも通行止めを解除 10:00 津波注意報を全て解除 10:17 能登地方でM5.6、穴水町で震度5弱 11:43 大阪行き特急サンダーバードが運行を再開 13:00 石川県が県内の死者数30人、重傷者14人と発表 14:48 東京行き北陸新幹線が運行を再開 16:40 石川県が県内の死者数48人と発表 17:13 能登半島沖でM4.6震度5強を観測 ▽3日 2:21 能登地方でM5.0震度5強を観測 8:00 石川県が県内の死者62人と発表 9:30 坂口茂輪島市長が震災後に輪島市役所初登庁 10:30 石川県道1号線(七尾輪島線)穴水町此木―三井町漆原間の通行止め解除 10:54 能登地方でM5.5震度5強を観測 15:40 NTT西日本が志賀町4830回線、輪島市1820回線、珠洲市570回線で固定電話が使えないと発表 16:30 石川県などによると県内の死者数は73人となった