コスプレになった茶摘み娘 シーズン到来で茶園に賑わい
新茶の季節を迎え、茶市場は初取引の活況に包まれている。一方、青々とした新芽が吹く茶畑には、茶摘み娘の衣装をまとった女性の姿が。かつて手摘みの時代に活躍した茶摘み娘。今はコスプレを楽しむ体験型観光のツールに様変わりしているようだ。
静岡県内で仕事をしている関西出身の田島優さん。地元の友達の酒井愛理さんが遊びにくることになり、2人で静岡を楽しむことになった。「静岡といったらお茶のイメージ」ということで、ネットで検索して、やってきたのが静岡最大の茶産地、牧之原。茶園で茶摘み体験をすることにしたのだ。 2人が訪れたのは「お茶と健康のテーマパーク」をうたうグリンピア牧之原。同施設は茶問屋を営む企業が運営している。お茶製造工場や茶摘み体験用の茶園、茶料理が楽しめるレストラン、抹茶ジェラートをはじめお茶関連の商品を揃えた直売店があるお茶づくしの施設。
2人は、さっそくレンタルの茶娘衣装に着替えて茶園へ。スタッフから摘み方について説明を受けた後、30分間の茶摘みを楽しんだ。摘んだ茶葉は持ち帰って、施設が用意したレシピをもとに煎茶にして楽しんだり、かき揚げ天ぷらにして味わうことができる。時間制限で摘み放題なのは、イチゴ狩りやブドウ狩りなどと似ているが、異なるのはお茶を摘むことだけが目的ではなさそうなことだ。 田島さんも酒井さんもカメラ持参で、互いの茶摘み娘姿を撮りあったり、茶摘みをしている様子を動画撮影したり、茶摘み歌をスマートフォンから流してみたり摘むこと以外のことも忙しい。撮影した写真や動画はSNSなどで発信するのだという。 「若い女性のお客様は、茶摘みだけでなく、茶娘姿を撮影することを目的にいらっしゃる方も多い」とグリンピア牧之原セールスマネージャーの森山和也さん。茶摘み娘の衣装を着て茶畑で雰囲気を楽しむ、そんなコスプレ感覚が受けているようだ。
「茶摘み姿を撮ってSNSにあげたりすることができるので、茶摘みツアーは若い女性からご家族まで幅広く人気が出てきている」と日帰りバスツアーを企画している旅行会社担当者。受け入れる施設も充実してきているという。グリンピア牧之原には年間約8万5000人の人が訪れ、ゴールデンウィークは個人客や団体客で賑わう。中国、韓国から東南アジア、オーストラリア、アメリカなど海外からの観光客も多く、茶摘み体験をしにカナダから1人で訪れた女性もいたという。 30分間の茶摘み体験を終えた田島さんと酒井さん。「思ったより簡単に摘めました。虫がいるのではないかと心配だったけど、虫はいなかったです。茶娘衣装を着たかったので満足。曇っていて富士山が見れなかったのがちょっと残念でした」と話していた。摘んだ茶葉は家族への土産物にするという。