2024年国内男子ツアー賞金ランク2位・平田憲聖のドライバースウィングをAIで分析
トップから切り返しで両ひざと骨盤が深く下がり、地面反力を利用する。
2つ目の特徴は、「下半身は左右ではなく、上下に動く」点です。ひざの屈曲角度を表す「KNEE FLEXION」(LEADが左ひざ、TRAILが右ひざ)は、左ひざはトップで144度、切り返しで141度、右ひざはトップで156度、切り返しで147度と、両ひざとも切り返しにかけて角度が深くなっています。またアドレスから骨盤が上下にどれだけ動いたかを表す「PELVIS LIFT」(アドレスが0。マイナスは下、プラスは上)もトップでマイナス4.7cm(下)、切り返しでマイナス8.3cm(下)と、両ひざ・骨盤ともに地面に向かって下降しているのがわかります。 この地面に向かって骨盤と両ひざが下がる動きは、近年ヘッドスピードを上げるのに有効とされている「地面反力」を利用する動きと解釈できます。スポーツボックスAIにおける「骨盤の上下動」の海外男子ツアープロレンジは、切り返しでマイナス0.8~マイナス6.9cm(下)ですので、平田選手は骨盤が地面に向かって下がる動きが大きい選手と言えます。この両ひざと骨盤が下がる動きが、地面反力を利用する動きに繋がります。
右足はベタ足でも、縦方向には大きく動いている
それでは、インパクトからフォローを見てみましょう。先程のトップから切り返しにかけて下降した両ひざと骨盤が、インパクトからフォローにかけては上昇しています。左ひざはインパクトで169度、フォローで174度、右ひざはインパクトで161度、フォローで173度、そして骨盤はインパクトでマイナス3.3cm(下)、フォローでマイナス1.1cm(下)で、いずれも切り返しのデータと比べると上に向かっています。
また、平田選手と言えば右足ベタ足のインパクトからフォローが特徴的ですが、インパクトからフォローでの右ひざの屈曲角度は、いずれも海外男子ツアーレンジ(インパクト148度~158度、フォロー148度~164度)と比較すると、右ひざは伸びているのがわかります。 これは地面を強く踏み込んだ反力で右ひざが伸ばされた結果、右足がベタ足になっていると言えます。ですので、平田選手のように右足がベタ足になるには、右足を動かさないようにするのではなく、むしろ右足で強く地面を蹴るようにした方が、結果として右足ベタ足のインパクトに近づいていくと言えます。 今回は平田憲聖選手のスウィングを解説させて頂きました。最終戦の逆転で惜しくも金谷選手に次ぐ賞金ランキング2位で今シーズンを終えた平田選手ですが、まだ24歳ですので、まだまだ来シーズン以降の飛躍が楽しみです! (撮影/岡沢裕行)
北野達郎