「皇室としては類例を見ない結婚」佳子さま、将来に向けて2人の内親王から学んだ“結婚の姿”
プローポーズの言葉
プロポーズについては、 「時期は今年初めであったかと存じます。私から宮さまに『私と結婚してくださいませんか』と申し上げました。場所は秋篠宮邸で(略)」(黒田さん) 「お返事はその場でお受けする旨を申し上げました(略)」(紀宮さま) '05年3月19日、一般の結納にあたる「納采の儀」が行われた。同年11月12日午前、皇室の祖神に別れを告げる「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」が皇居内の宮中三殿で行われ、紀宮さまは古装束の十二単姿で拝礼し、結婚により皇族の立場を離れることを報告した。 この日午後、紀宮さまは皇居・宮殿で「朝見の儀」に臨み、上皇ご夫妻(当時は天皇、皇后両陛下)に別れの挨拶をした。白のロングドレスに勲章をつけ、髪をティアラで飾った正装姿の紀宮さまは、ご夫妻の前に進み、感謝の気持ちを述べた。 結婚前の一連の儀式を無事に終えた紀宮さまは、多くの国民が祝福する中、黒田さんと結婚式を挙げた。また、皇籍を離脱したことに伴って、一時金約1億5000万円が国から支給された。 「皇后はさぞ寂しく感じていることと思いますが、今までにも増して私のことを気遣ってくれています。ただこれまでおかしいことで3人が笑うとき、ひときわ大きく笑っていた人がいなくなったことを二人で話し合っています」 紀宮さまの結婚から約1か月後の同年12月19日、自身の誕生日を前にした記者会見で上皇さまは、このように長女の思い出を語っている。また、この年の10月、誕生日に際して発表された文書の中で上皇后さまは次のように綴っている。 《清子も東宮御所の庭で自然に親しみ、その恵みの中で育ちました。小さな蟻や油虫の動きを飽きることなく眺めていたり、ある朝突然庭に出現した、白いフェアリー・リング(妖精の輪と呼ばれるきのこの環状の群生)に喜び、その周りを楽しそうにスキップでまわっていたり、その時々の幼く可愛い姿を懐かしく思います。(略) そして清子は、私が何か失敗したり、思いがけないことが起こってがっかりしている時に、まずそばに来て「ドンマーイン(筆者注、「気にしないで」の意味)」とのどかに言ってくれる子どもでした。これは現在も変わらず、陛下は清子のことをお話になる時、「うちのドンマインさんは…」などとおっしゃることもあります。あののどかな「ドンマーイン」を、これからどれ程懐かしく思うことでしょう》 '21年10月26日、佳子さまの姉、小室眞子さんが結婚したが、「納采の儀」や「朝見の儀」など、結婚に関連する儀式・行事は一切、行われず、一時金は眞子さんが辞退するという「皇室としては類例を見ない結婚」(秋篠宮ご夫妻)に。 紀宮さまが結婚した当時、佳子さまは10歳で、記憶に残っていることだろう。2人の内親王の対照的な結婚の姿から、佳子さまはしっかりと学び取ったはずである。 <文/江森敬治> えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など