「どうせ逮捕される」田村瑠奈被告(30)の父・修被告が語った「ノコギリを欲しがった理由」 眼球を取り出す瞬間を撮影した時の感情は【ススキノ事件】
なぜ修被告は娘を止めることができなかったのか
しかし、それらの刃物は被害男性の遺体を損壊するのに使われた可能性がある。修被告は、娘に言われるがまま、その過程をハンディカメラで撮影した。なぜ娘を止めなかったのか。 「そのときの記憶がけっこう曖昧で、はっきりと思い出せませんが、やめなさいと言ってもやるだろうと思いました。咎めると、本人の精神状態が悪化する。不穏当ですが、どうせ逮捕されるとわかっていたので、その日まで穏便に時間が過ぎるのを待ちました。 断ると本人が興奮する。(断るのが)怖いという気持ちはゼロではなかったが、本人の精神状態が壊れるほうが心配でした」(同前) 事件から逮捕まで20日以上。警察にずっと通報しなかった理由について、修被告は以下のように語った。
「現場まで自家用車で行っているし、すぐにでも娘が逮捕されるだろうと思っていました。私の手で(警察に)突き出すということは、娘を裏切る行為になるような気がして、できませんでした。 もし通報して突き出したら……。娘をこれ以上、苦しめたくない。“恐ろしくて通報できない”という気持ちはありませんでした」(同前) 修被告は、殺害動機や首を切断した理由について、瑠奈被告に尋ねることはしなかった。 「本人から“こういう理由でやった”とか“こういう理由でやるのどう?”とか尋ねられたら答えたかもしれないが、本人が言わないことについて、こちらから尋ねることはしませんでした」(同前) 修被告は退廷時、手錠と腰縄をつけられている間、弁護側の席にいる浩子被告に顔を向けた。夫婦は数秒間、視線を交わして、修被告が頷く仕草をしたようにも見えた。一方の浩子被告は目を真っ赤にしながら、夫の顔を見つめていた。まもなくふたりは視線を外し、修被告が法廷から消えた。 愛する娘を守りたい──。そんな普通の親心が、日本の事件史に残るであろう猟奇殺人の背景にあるようだ。 ◆取材/高橋ユキ(ジャーナリスト)
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