【アカデミー賞考察】女性の才能に注目! 作品賞候補作『哀れなるものたち』『バービー』
3月10日(現地時間)に授賞式が開催される第96回アカデミー賞(日本ではWOWOWがLive放送)。最多13部門にノミネートされているクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』のほか、長編アニメーション賞部門で『君たちはどう生きるか』、視覚効果賞部門の『ゴジラ-1.0』、国際長編映画賞部門の『PERFECT DAYS』など、日本の作品の受賞の可能性もあり盛り上がりを見せている。 【画像】女性の才能に注目! アカデミー賞作品賞候補作をチェック そんな中、注目したいのが女性の才能だ。特に、今年は作品賞10本のうち、女性監督の映画が3作品を占めている。これは史上初の快挙だ。監督業は女性が進出しにくい分野の一つとされてきた。2022年にはジェーン・カンピオンが史上3人目の女性監督として監督賞受賞を果たしたことは評価できるが、まだまだ歩みは遅く十分ではないというのが現状だ。 一方、俳優が自身の製作会社を率いてプロデューサーを手がけるケースがより一層目立っているが、ここでも女性の活躍に見るべきものがある。今回の作品賞候補作では、『バービー』のマーゴット・ロビー、『哀れなるものたち』のエマ・ストーンなど、自分たちが出演したい作品、演じたい役が登場する企画をプロデューサーとして手がけ、成功に導く大きな原動力になっている。 作品賞候補作の中から作り手の女性たちのビジョンと存在感が際立つこの2作品をピックアップ。作品のテーマや見どころについて解説します!
『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモスとエマ・ストーンが、再び顔を合わせた『哀れなるものたち』。アラスター・グレイの原作を、主人公のベラ・バクスターの視点を通して大胆に脚色した本作は、監督のランティモス、脚本家のトニー・マクナマラ、そして何より自らがベラを演じたいと切望し、プロデューサーとして携わったストーンの存在が大きいことは言うまでもないだろう。 自ら命を絶った若い女性に、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)が彼女の胎児の脳を移植し、奇跡的に蘇生するという設定からして、一筋縄ではいかない物語。大人の体に赤ちゃんの脳で、急速に学習し成長を遂げていくベラ。やがて、放蕩者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)に誘われて大陸横断の旅に出る。 R18+(18歳未満の入場・鑑賞を禁止)に指定されており、セックスシーン(インティマシー・コーディネーターが入っている)が多いことも含めて、様々な解釈や議論の余地がある映画については、ぜひ上映中の劇場で体験してみてほしい。