実家に戻るしかない… アイルランドのミレニアル世代やZ世代を「住宅危機」が直撃(海外)
アイルランドでは、実家で親と暮らす若者が増えている。 その原因は深刻な住宅危機だ。 アイルランドでは2010年から2022年の間に家賃が84%値上がりしていて、欧州連合(EU)の平均を大きく上回った。 アイルランドではあまりにも住宅価格が高騰し、親元に戻るあるいはそもそも実家を出ない若者が増えている。 2022年のアイルランドの国勢調査によると、18~34歳の41%が親と同居していて、約10年前から10%近く増えている。30歳に限ってみると、2022年の時点で20%が親と同居していて、2011年に比べると13%増えている。 これは住宅にかかる費用の高騰と一致している。アイルランドの家賃は2010年から2022年の間に84%値上がりしていて、EUの平均(18%)を大幅に上回った。アイルランドで初めて住宅を購入する人の年齢の中央値は、2010年から2022年の間に35歳から39歳に上がった。 住宅危機はさまざまな社会的傾向と結び付いている。アイルランドの若者は経済的な余裕がないことを理由の1つに挙げ、子どもを持つことを先送りにしたり、あきらめたりしている。アイルランドの出生率は2012年から2022年にかけて20%低下した。 住宅不足と住宅価格の高騰は、多くの人々をホームレス状態に追い込んでいる。アイルランドでは最近、住む場所のない人の数が過去最多を記録した。 アメリカと同じく、価格高騰の根本的な原因は、所得制限のある住宅を含む深刻な住宅不足だ。高い金利と建設費の高騰が状況をさらに悪化させている。 アイルランドの住宅危機は、ヨーロッパの多くの国々やアメリカが直面している住宅危機と多くの点で似ている。オランダからイギリスまで、多くの国で需要が供給を上回り、その結果、住宅価格が高騰している。 そして、ヨーロッパ南部では近年、不動産投資の急増によって住宅価格が大きく値上がりし、需要の高い都市が高級化して、長年住んでいた住民が街を離れ、若者が実家を出て独立するのを妨げている。ポルトガルやスペインといった国は、国外からの投資を奨励し、住宅価格や家賃を押し上げるいわゆる「ゴールデンビザ」のような政策を翻し始めている。
Eliza Relman