歴代『ガンダム』ミハルにマリーダにフレイ…男性パイロットの人生を変えた「女性キャラの死」
■死後の思念で二人の運命を変えたマリーダ
『機動戦士ガンダムUC』では、マリーダ・クルスの死の影響が大きかった。 マリーダは「袖付き」ことネオ・ジオン残党軍に所属する軍人で、ミネバ・ラオ・ザビ殿下の護衛を任務とするガランシェール隊所属の強化人間だ。ニュータイプ専用MSクシャトリヤの専属パイロットとして、主人公バナージ・リンクスの前に立ちはだかるが、後に和解。短い期間ではあるが、日常をともに過ごすこともあったシリーズ屈指の人気キャラクターだ。 そんなマリーダは、最終決戦時に死んでしまう。バナージは、直接の原因となった地球連邦軍パイロットであるリディ・マーセナスに怒り、彼に本気の殺意を向ける。だがマリーダの死後の思念が、バナージをなだめて抑える。 彼女の死が、バナージの成長のきっかけの一つになったことは想像に難くない。しかし、さらに影響があったのは、リディのほうだろう。自らの手でマリーダを殺めてしまったリディは、そのことにより正気を取り戻し、バナージへの対抗意識を乗り越えて、バナージとともに戦うこととなったのである。 残念ながら戦争を生き抜くことは叶わなかったが、彼女の人生が他の人物に多くの影響を与えたのだ。
■キラを世界の平和へと決意させたフレイ
宇宙世紀シリーズ以外では、『機動戦士ガンダムSEED』のフレイ・アルスターを挙げる。 彼女は主人公キラ・ヤマトと同じカレッジに通う学校のマドンナ的存在の女の子で、大西洋連邦政府の事務次官ジョージ・アルスターの娘。キラもひそかに憧れていたが、遺伝子操作により生まれた人類・コーディネイターにより組織されたザフト軍に父ジョージが殺されたことで、コーディネイターを憎むようになる。 『SEED』の物語序盤では、コーディネイターであるキラの自分への恋心を利用し、彼を戦わせることで、キラともどもコーディネイターを抹殺させるということに思案を巡らせていた。 物語が進むにつれて、キラへの感情が本心からの愛情へと変わっていくが、最終局面において、キラの前に流れ着いた途端、自身の乗っている救命艇を破壊され死亡してしまう。このまま何事もなければ、仲直りしたであろう直前の死は悲劇的であった。 これは、キラを追い詰めようとするザフトの「仮面の男」ラウ・ル・クルーゼによるものだったが、キラはこのことにより奮起することとなった。 そして、この奮起は対クルーゼ戦での1回限りということではない。この後の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にも続く、世界を平和にするという決意であっただろう。 フレイはキラへの影響が最も強い女性であり、コズミック・イラ世界全体への影響も計り知れない女性であった。 劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でも、キラがフレイの後ろ姿が写り込む写真を飾っている描写がある。時が経ってもフレイへの気持ちが薄れることがないということであろう。 一人の女性との出会いと別れが、主人公たちに大きな影響を与え、ひいては世界も影響されていく。登場人物の死が多い『ガンダム』シリーズだが、その死は決して軽くない。
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