「年400万本売れる」「工場はなんと6代目」 宮崎で圧倒的支持!エバラでも牙城を崩せない人気焼肉たれ「戸村のたれ」。美味しさの秘密は、地方の中小企業のたゆまぬ努力にあった!
当時は普通に市販されている釜でたれを炊いていたんですけど、どうしたら増産体制が取れるかというところで、釜を大きくしようと考えました。そこで、福岡の釜を作る町工場を紹介してもらい訪問しました。 「今の3倍、4倍の釜を作ってほしい」と依頼すると、社長さんが「作れないことはない、しかし工場長、でかくするのがいいんじゃない。せめて倍ぐらいの釜やないと味の調整が難しくなって、それで失敗して廃業されたところがいっぱいある。だから慎重に」と話してくれました。
助言に従い、ひとまず倍の大きさの釜を作ってもらうことにしました。 まずは実験的に1個だけ作って、たれの味が復元できるか検証しました。そしたら最初は同じ味にはならんかったですよ。材料を倍にして入れても、味が一緒じゃなかったです。だからそれから何回も試作をして、元々のたれの味にしていきました。 倍であれだけ悩まないかんなら、これを3倍にして4倍にしたら、味を守れなかっただろうなと。だから今のたれの味があるのは、その人のおかげだと思いますね。試作してうまくいった段階で、10個発注しました。2022年に揃い今は全部稼働しています。
―多くの食品メーカーを見てきたからこそのプロフェッショナルの意見ですね。 福岡のその地区は、町工場がたくさんあって。釜、ネジ、砥石など、それぞれが専門分野を持っていて、依頼がきたときにそれぞれの工場で作ったものを持ち寄って作る協力体制ができているようです。技術を持っている人たちが、ちゃんとしたものをちゃんと作るっていう商売を続けてらして。いいものを作っていただきました。 ―釜を新調されて、たれの生産体制は落ち着きましたか?
それが釜を新調した今でも目いっぱいなんです。よく、新しい商品を考えないかんって言われるけど、毎週月曜日にドレッシング、火水木金にたれを作っているので、もうほかに入れる余地がないくらいですね。 ―「戸村本店の焼肉のたれ」が根強い人気だからこそ、わざわざ違う味を作る必要はないのかもしれないですね。 でも、もしも会社的に成長しようとすると、そういったものを手がけていかないと難しくなると思うんです。しかしそうなると人手がさらに必要になりますよね。