移動式給油機「どこでもスタンド」能登半島地震で活躍 福岡県内では?
テレQ(TVQ九州放送)
まもなく迎える梅雨末期は大雨のリスクが高く、1年で最も災害に備える時期といっても過言ではありません。 福岡市博多区のマリンメッセ福岡で「九州災害リスク対策推進展」が開かれました。 展示会には発電機や携帯トイレなど50人分の防災用品を1つにまとめたボックスや、蛍光塗料を使って河川の水位を表示するメーカーなど9社が出展しました。 取材班が注目したのはこちらの機械。 木戸優雅アナウンサー 「これはガソリンスタンドで見る計量機?」 横田瀝青興業 横田勝好社長 「そうですね。基本的には同じものだが移動できるようにしたものが、この機械になる」 移動式の計量機「どこでもスタンド」。兵庫県に本社を置く横田瀝青興業が開発・販売しています。 使い方は簡単。計量機とタンクローリーをホースでつなぐだけ。特許を取っているため、どこでもガソリンを簡単に給油できます。この機械が活躍したのが… 「今年1月の能登半島地震の時に出動した」 この会社は震災の翌日、どこでもスタンドを積み出発。すぐ仮設の給油基地を設け、配送業者のトラックに給油。4日間で2トントラック80台分を給油しました。 「災害が起きると、結局燃料、ガソリンを求めて人がそこに集中してしまう。ところが、どこでもスタンドを導入して緊急車両は臨時で作った給油所で燃料を補給して、街中のガソリンスタンドは積極的に市民を受け入れる体制を取れば行列、混乱を避けることができると思う」 「どこでもスタンド」はまだ福岡県内に導入されていませんが、調べてみると隣県では大分県佐伯市が導入していることが分かり、取材班は3時間かけ現地へ。 早速、市の担当者に保管している場所を案内してもらいました。 佐伯市防災危機管理課 三原勇人さん 「あちらが、その機械になります」 保管するのは防災備蓄倉庫。災害時に備え、佐伯市では2023年1月、どこでもスタンドを導入。 これまで稼働実績はありませが、2023年11月の大分県総合防災訓練では職員や消防隊員らが設置訓練を実施しました。今回災害時に設置する場所に運んでもらうと、2~3分で移動が完了しました。 「ここが臨時の給油場所になるので、この場所を使って給油する形になる」 災害時のガソリン代や電気代は国が全額補助するため、市が維持費を負担する必要はありません。 佐伯市でもガソリンスタンドはピーク時に比べ40軒ほど減っているため、災害時に大きな活躍が期待されますが、実は公用車や緊急車両だけが給油の対象で市民の給油は想定していないのです。 「住民の被災状況の確認や捜索等の緊急性がある車両をメインにしないと、他のガソリンスタンドに並ぶと1~2時間かかるので専属で給油する形で設置するようにしている」 ただ、災害時用に保管しておくだけではもったいない!そこで国は2021年。居住地から最寄りのガソリンスタンドまで15キロ以上ある過疎地などは「どこでもスタンド」を普段から使えるよう規制を緩和しました。 福岡県内でこの条件に該当する地域の1つが築上町です。町長に聞きました。 築上町 新川久三町長 「道路が遮断された場合は必要と思うが、日常の使用ということになれば、一番離れた山奥も何軒かしかない。だから必要ないと思っている」 築上町にある、ガソリンスタンドは4軒。ピーク時の半分以下に減っています。平常時でも使えれば利便性が高まりますが… 築上町民 「それは便利でしょうね。それこそ築上町は山が深いので山手の人は便利になると思う」 「良いのは良いと思う。移動式ができるのは。災害時は必要と思うが平常時は、そこしか入れていない(同じ場所で?)同じ場所だから私は関係ない」 「年配の人で遠方に行けない人は助かると思う。 ただ どこでもスタンドは1基1400万円、簡単には導入できません。 築上町 新川久三町長 「お金もあるが、住民の皆さんがそんなに要望していない。そういうのは国もしくは県が備えて災害があった時はどんどん持っていくと。そういう方策の方が私はコンパクトで良いと思う」
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