イギリス労働党スターマー党首「働く人のための国に」、スーナク首相「新味のない演説」
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7月4日のイギリス総選挙に向けて、最大野党・労働党の党首、サー・キア・スターマーは27日、イングランド南部ウェスト・サセックスで選挙戦初の本格的な基調演説を行った。両親が働く労働者階級の家庭で育った自分の生い立ちをあらためて有権者に説明すると共に、労働党政権は「イギリスを再び、働く人に仕える国にする」と約束した。 元検察官のスターマー党首は自分が、会場から遠くない南部サリー州のオクステッド村で、「工場で働く父と看護師の母」のもとで育ったと紹介。「制御できないインフレがどういうものか、よく知っている。生活費が値上がりし続ければ、『払えない請求書をまた届けに来たのか』と郵便配達員の姿におびえるという感覚も知っている」と話した。 そのうえでスターマー党首は有権者に、「党よりも国を優先させ」て「皆さんのために闘う」と約束。自分たち労働党が、経済の安定を実現し、国の安全保障を守ると信用してもらいたいと訴えた。 これに対して、与党・保守党を率いるリシ・スーナク首相は、「またしても、新しいアイディアの何一つない演説だ」と批判した。 スターマー党首は演説後、BBCに「自分を社会主義者と呼ぶか」と質問されると、「自分を社会主義者と呼ぶし、進歩主義者と呼ぶ」と答え、それは「働く人のために国が仕えるようにするのが、政治だと思う」からだと説明した。 スターマー氏は労働党の党内左派からは、ジェレミー・コービン前党首の社会主義路線を捨ててしまったと批判されている。同党を除名されたコービン氏はロンドン北部イズリントンの選挙区から、無所属として出馬し、労働党の候補と争う予定。 スターマー党首はさらにBBCに対して、労働党の複数の公約実現には増税は必要なく、増税なき予算措置は計画済みだと話した。労働党のレイチェル・リーヴス影の財務相も26日、BBCに対して、労働党政権で所得税増税や国民保険料の引き上げは行わないと言明していた。 BBCのクリス・メイソン政治編集長が報告する。 (英語記事 I've changed Labour permanently, Keir Starmer says)
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