井上尚弥のWBSS会見は異例の英語、日本語2部構成。世界120か国に生中継も
世界最強決定トーナメントである「ワールドボクシングスーパーシリーズ(WBSS)」が7日、横浜アリーナで開催されるが、先立って5日、都内ホテルで出場選手が参加して記者会見が行われた。メインは、WBA世界バンタム級王者、井上尚弥(25、大橋)が初防衛戦を兼ねて元WBA同級スーパー王者で同4位のフアンカルロス・パヤノ(34、ドミニカ)と戦う1回戦。同イベントでは、WBA世界スーパーライト級タイトルマッチがWBSSのスーパーライト級の1回戦として行われ、セミファイナルでは、WBC世界ライトフライ級王者、拳四朗(26、BMB)と元IBF同級王者のミラン・メリンド(30、比国)の試合が組まれている。世界的なイベントだけあって、この日の会見は、英語版、日本語版と異例の2部構成で行われた。またWBSSのプロモーターであるカレ・ザワーランド氏は、将来的にスーパーフライ級、ライトフライ級などの軽量級をWBSSに新設する構想があることも表明した上で、その場合、拳四朗vsメリンドの勝者に優先出場権を与えることも言及した。この試合は、「DAZN」を通じて全世界120か国以上に配信される。
「強い井上尚弥をアピールしたい」
アジア初上陸となる全世界注目のビッグイベントの会見は異例の英語、日本語の2部構成だった。 まずはWBSSに参加の井上尚、パヤノら4選手だけが出席、英語バージョンで行われた。プロモーターのザワーランド氏の挨拶の後に約13分間、司会者の質問だけに選手が答えるという形式のもの。 「あなたはパウンドフォーパウンドとして世界中から評価されている。日本でもアイドルだが、どういう展開のボクシングを見せるか?」 司会者の英語での質問に対して井上尚は、「(パヤノは)かなりのキャリアがあり、強敵。自分のできるボクシングを出し切って、この試合をしっかり自分のものにしたい」と日本語で答え、通訳が英語に翻訳してアナウンスした。 さらに「井上選手への特別な質問があります」として「世界が見るWBSSが、あなたの母国で開催される。特別な気持ちはあるか、どのような試合を見せたいか」と問われ、「明後日は、全国、全世界のボクシングファンに向けて、さらなる強い井上尚弥をアピールしたい」と、堂々と発言した。 ここで会見の一部は終了。ひな壇が作り直され今度は、大橋会長、井上真吾トレーナー、WBC世界ライトフライ級王者の拳四朗、寺地永会長、挑戦者のメリンドら、全選手が登壇して、再度、日本語での会見が仕切り直しでスタートするという異例の展開になった。もう何十年も世界戦の直前会見を取材してきているが、こういう2部構成の会見は初めて見た。 日本版の会見で質問が集中したのは、井上尚ではなく、プロモーターのザワーランド氏に対してだった。なぜなら、井上尚が勝って準決勝に進めば、残り3試合のどのカードの勝者と、どこでやるのか、優勝賞金は、1億円と言われているが、公式発表はいくらなのか、ドローに終わった場合、タイトルは王者の防衛だが、トーナメント進出者はどう決めるのか?などのハッキリしていない点が多いからだ。 ザワーランド氏は「これから、先のことは話ができない。いい試合をして、これに勝てば、日本開催があるかもしれない。試合後に、また会見で聞いてくれ。賞金? トータルでは数百万(ドル)。6桁(の金額、数億円)だったと思う。それなりの金額になる。数百万だ。だが、それがドルか円か、為替はわからないよ(笑)」と、大物プロモーターらしくユーモアを交えて、いずれの質問も煙に巻いた。 ちなみに複数の海外メディアは、10月20日に米国フロリダ州オーランドで行われるIBF世界同級王者、エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)対ジェイソン・モロニー(オーストラリア)の勝者が次戦相手の最有力としている。 またドローの場合は、特別に第4のジャッジが用意されており、その裁定を仰ぐという。それでもドローの場合は1ラウンドからの映像を全員で検証して白黒をつけるルールだ。