井上尚弥が来年4月米国ラスベガスでの対戦有力候補へ爆弾発言「カシメロはバカ!」その真意とは?
そして4月のカシメロ戦を想定して今後の練習スケジュールを逆算していくという。 「4月というのは問題ない。今週病院に行くので、話を聞いて、スパーリングのできる時期を相談して(練習スケジュールを)逆算していく。カシメロについては、なんとなくインプットはできている。今の段階では、相手の映像を見ている時期ではないが」 カシメロに関しての分析(インプット)はどう終えたのか? 井上は注目発言を行った。 「ドネアよりカシメロが危険。若いし、野獣的勘がある、バカだし(笑)」 バカ? 思わず問い直す。 「いい意味でバカなんですよ、おそれない、こわいものしらずのバカさが(ボクシングには)必要なんですよ。どっちにころんでもバカさが出る。(テテ戦のような勝ち方があれば、逆に)カウンターでやられるか。わかります? バカの意味が? 生まれもってのそういう選手はいるんです」 カシメロの戦績は33戦29勝(20KO)4敗。3階級制覇を成し遂げているが、4敗するなどのポカもある。8年前だが、井上と同門の八重樫東が23日に挑戦するIBF世界フライ級王者、モルティ・ムザラネ(南アフリカ)にTKO負けを喫している。 先の正規王者、ゾラニ・テテ(南アフリカ)との統一戦では、1、2ラウンドは、ジャブとスピードでポイントアウトされ、このままテテペースで展開するかに思えたが、3ラウンドに突如、突っ込んでアッパーとフックの間のようなパンチからフックの追い打ちでテテを破壊、グロッキーさせた。強引なその手法は、井上が指摘するように勇気と無謀の境界線のようなボクシングだったのかもしれない。 井上の「バカ」発言は、カシメロの長所へのリスペクトの裏返しであり、警戒心なのだ。 そうカシメロを評価した上で井上は、攻略への心得を語る。 「こっちがバカになっちゃだめ、相手の土俵に上がって戦ってはいけない」
試合のイメージも出来上がっている。 「ドネア戦より慎重に戦う。ドネアはボクシングをするから噛み合うと思ったが、カシメロは前半は危険ですよ。ただ、その前半をしのげば、ぼろぼろとをメッキがはがれていく。そこから後、どう崩していくか」 ドネア戦で途切れたが、WBA世界バンタム級王座を獲得したジェイミー・マクドネル戦、WBSS1回戦のファン・カルロス・パヤノ戦、準決勝のエマヌエル・ロドリゲス戦と、3試合続いていた“秒殺“は、あえて避け、中盤以降の勝負でKO決着をつける算段でいる。 大橋会長も「海外へいっても今までのようなインパクトのある試合を続けてもらいたい。常に倒しに行く、それが尚弥の魅力」とエールを送った。 希代の名勝負となったドネア戦で得たものもある。 「課題は感覚でわかっている。ガードが、どうとかという問題じゃない。その場、その場の瞬時の対応が若干、ずれていた。感覚として修正していけたらなというものがある。カットは予想していたが、一発のパンチでカットと骨折までとは予想していなかった。練習でそういう危機の状況を作りだすことはできないので、やはり、その場、その場の対応力になる。無駄なパンチもあった。12ラウンドを通して100パーセント集中できるものを作りたい」 目の上のカット、眼窩底骨折など予想だにできない苦しい状況に置かれた中でもいつもと変わらぬ状態をキープして戦うために必要なものを磨きたいのである。 実父で専属トレーナーの真吾氏も「今後は強敵になってくる。今以上により集中、意識して、練習(の質)をより太くしていきたい」と言う。 今週、12日に目の再検査を行い、来年2月には「暖かい場所」でキャンプを張る計画も作った。 「今の時点でボクサーの価値が上がっている実感はある。バンタム級に選手が集まってきて勢力図もいい具合に活発になっている。そういった選手と試合をしていけば自分のモチベーションも上がる。最高だと思う。今まで通りの自分のボクシングを貫き、自分の良さを出す。それをまわりがどう評価するかが、楽しみ。井上尚弥というボクシングを見せていきたい。4月に向けて逆算して最高のコンディションにするだけ」 井上尚弥が世界へ羽ばたく2020年がもうスタートしている。