〈萩生田氏“ダブル裏金”問題〉“大番頭”の政策担当秘書に不起訴不当の議決「不記載の2728万円は極めて高額」都連がらみでも地検が捜査か
当選直前に政策担当秘書の不起訴「不当」議決
選挙期間中、萩生田氏は演説のたびに裏金問題について「私の所属する政策グループのパーティーの収支報告を巡って皆さんに大変不快な思い、また、ご心配をかける事態になってしまったこと、改めてお詫びを申し上げたい」と頭を下げ続けた。 だが同時に、必ず「私や私の事務所が意図して裏金づくりをしたとか、私的流用を図ったとか、脱税をしたとか、そういう事実はまったくありません。司法の判断を受けて、すべての修正を終えてやり直しをするということを皆さんにお誓いします」とも付け加え、問題はすでに「終わった」と強調することを忘れなかった。 「ところがその前提がおかしくなりました。5月に地検が萩生田氏や秘書らを不起訴・起訴猶予処分にした後、火付け役の上脇博之教授は即座に検察審査会に審査を申し立てていました。これを受けた東京第五検察審査会が選挙期間中の10月23日に、政策担当秘書のA氏について不起訴を不当とする議決を行なっていたのです」(社会部デスク) 衆院選投開票日の10月27日深夜、激戦区として報道機関が当確判定に慎重を期していた東京24区でNHKが萩生田氏に当確をつけると、八王子の選挙事務所では支持者らの喜びが爆発した。 「ところが直後に姿を見せた萩生田氏はまったく笑顔を見せず、万歳三唱のときも表情を緩めませんでした。記者団からそのことを指摘する質問が出ると、萩生田氏は『ほっとしてるというのが正直です。それと、多くの同志が残念ながら議席を失ってますので、そのことが大変心苦しく思います』と答えていました。 今から考えれば、萩生田氏はこの時点でA氏に不起訴不当の議決が出たことを知っていたので喜べなかったのかもしれません。議決が公になったのは11月5日でしたが、なにせ当事者なので、議決直後に聞いていた可能性は考えられます」(社会部記者)
萩生田氏に“ダブル”でまとわりつく裏金問題
政界筋によれば、A氏は萩生田氏の国会事務所と地元八王子の事務所の双方を仕切る大番頭だ。「Aさんは今回の選挙でも選対の表の顔で、高市氏らの応援を取り付けたりマスコミ対応にも自ら当たったりしていました」と選対関係者は話す。 犯罪は成立するが裏金の額などを考慮して刑事処罰を求めることを猶予するとした東京地検の判断に対し、東京第五検察審査会は「(2728万円の不記載額は)一般的な感覚からすれば極めて高額であることから、被疑者(A氏)も刑事責任を負うべきである」「悪質性は相当程度高い」と言明し、地検の判断基準に異議を唱え、再捜査を求めている。 第五検審は1542万円の裏金が問題になった旧安倍派の世耕弘成氏(今回衆院選で当選)に絡んでも、同氏の政治団体「紀成会」の会計責任者でいったんは不起訴になったB氏について、同じ理由で不起訴不当の議決を行なっている。検審の考えとして、少なくとも1542万円以上の裏金を手にした議員の会計責任者は処罰されるべきだと示しているともいえる。 萩生田氏周辺のざわつきはこれだけではない。実は上脇博之教授は今年1月、自民党東京都連に関連する「自由民主党東京都支部連合会」と「東京都議会自由民主党」の2団体も東京地検に告発している。 「20万円を超えるパーティー収入の一部の収入明細が不記載になっていたからです」と上脇教授は話す。 「問題の時期に都連会長を務めていたのが萩生田さんです。この件ではすでに地検特捜部が都連事務局幹部から事情を聴いていると聞きました。 捜査がどこまで進んでいるのか分かりませんが、旧安倍派と同じ構図だと確認できれば立件しないわけにはいかないだろうとみんな噂しています。“東京都連版のパー券裏金問題”の幕開けではないかということです」(都内の自民党関係者) 「司法の判断を受けて、すべての修正を終えてやり直しをする」と有権者に誓った萩生田氏だが、やり直しどころか裏金問題は“ダブル”状態でまとわりついている。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班