ムック本「The NEW ERA®Book」誌上モデルの撮影に臨む筆者（マネジャー撮影）

　落語家が取材などの撮影で求められるポーズの堂々第1位。扇子を頭の上で広げて、にかっと笑う、これだ。皆さまも、落語家のイメージとしてなんとなく思い浮かぶのではないだろうか。あとは、蕎麦（そば）をたぐるポーズなんかもリクエストが多い。そして、全て「歯をみせてください!」と言われて、にかっと笑う。 　「爆笑落語会」と書かれた看板には、確かに似合うかもしれない。この「爆笑」というタイトルも、その日のでき次第で看板に偽りありになる可能性があり、恐ろしい文言ではあるけどね。 　このあいだ、そんな〝表情リクエスト〟が一切ない現場があった。米ファッションブランド「NEW ERA（ニューエラ）」のムック本のモデルを担当！ちんちくりんの国からちんちくりんを広めに来たようなこの私が、ファッションモデルって。自分ツッコミの嵐の中、「お受けいたします！」（やるのかいッ！）。やらせていただきましたよ、ええ。 　先に言っておくと、これもびっくり、とんでもなくすてきな写真が出来上がった。 　まず、衣装さんとメークさんの力により、私の顔が光を発しているのではないかというようなツヤツヤ肌にしていただき、体も縦に引っ張られたのではないかというようなスッキリ縦ラインのスタイルをつくり出してくださった。ねぇ、人間こんなに変われるの? もちろん、私の持てる力の中での変化ではあるけれど、最大限ピチピチまで仕上げてくださった。 　いざ撮影。場所は、私の所属事務所の会議室。いつも打ち合わせに使用しているクルクル回る椅子をランダムに集めて、そこにグズグズっと座る。「ここに足を置いてください」「手はここに」と、言われるままに人形のように角度をつけてもらえる。小柄な女性のカメラマンさんが、机や椅子に乗り、すごいアクロバティックな体勢で写真を撮っていく。で、ここで表情の指示が! 「自然な表情で」。出た！ にかっと笑わなくていいのだ。これがやってみたかった！ アンニュイ桃花。スカシ桃花。もぉ、ノリノリでやりきる。 　結果、仕上がったのは、ここはどこ？ この人はだれ？ というようなオシャレな写真の数々。プロが寄ってたかって力を合わせると、ちんちくりんもオシャレ女性になるんだなぁと、心の中でにかっと笑った。 蝶花楼桃花（ちょうかろう・ももか）／東京都出身。春風亭小朝さんに弟子入り後、二ツ目・春風亭ぴっかり☆時代に「浅草芸能大賞」新人賞を受賞。2022年3月、真打ちに昇進し高座名を「蝶花楼桃花」と改める。昇進披露興行、初主任興行、企画にもかかわった全出演者女性による「桃組」はいずれも大入り。今年7月、池袋演芸場で31日間連続ネタおろし独演会「桃花三十一夜」開催。