長く続くのにはワケがある!「北の老舗」企業
今回のけいナビは、道内の老舗企業特集。長い業歴の中で培った技術とサービスに磨きをかけながら、新たな挑戦を試みる3社の事例をもとに経営のヒントを探った。 1社目は、ゴム製品製造メーカーのミツウマ(小樽)。1919年に創業。100年以上の業歴を誇っている。 そのミツウマの代表的な製品は、ゴム長靴。1960年代のピーク時には年間500万足ほどを製造。カナダやロシア(当時のソ連)にも輸出していた大ヒット商品だ。 そんなミツウマだが、安価な製品との競合で業績が低迷し、1983年に会社更生法の適用を申請。一時は203億円もの負債を抱えたが、その後20年ほどかけて経営を立て直した。 そのきっかけとなった製品のひとつが、工場内の作業で用いられる「クリーンルーム用シューズ」だ。底面に張り付けた特殊なゴムが静電気を逃がす仕組みで、次世代半導体の製造を目指し千歳に工場を建設中のラピダスからも、引き合いが少しばかりあるのだという。
ミツウマを語る上でもうひとつ忘れてはいけないのは、着氷防止やスリップ対策で使われることの多い「ロードグリップ」という商品。北陸新幹線の橋桁の工事にも採用され、札幌市内で進む再開発や北海道新幹線札幌延伸の現場への納入が期待されている。現在は長靴製造は自社ではほとんど行っていないが、培った技術が別の製品へと姿を変え生き続けている。 もう1社は、北海道産サケの加工一筋、1935年創業の丸亀(札幌・中央区)だ。円山に店舗を構える高級店で、独自の塩蔵技術を施したサケを販売する。 看板商品は「さしみ鮭」。常連客の声をきっかけに誕生した刺し身で食べられる新巻鮭で、贈答用の加工品と同様に販売開始以来、根強い人気を誇っている。 しかし近年は、ある問題が。2000年の初めに年間5000万匹取れていたサケの漁獲量は現在、その3割ほどにまで減少。それに伴って原料の仕入れが難しくなってきている。若い世代の魚離れを背景とした消費の低迷も悩みの種だ。