NATO、ウクライナ軍事支援に直接関与へ…トランプ氏の「返り咲き」も見据え仕組み作り急ぐ
【バーリ=酒井圭吾】北大西洋条約機構(NATO)は14日、ブリュッセルで国防相理事会を開き、ウクライナ軍への訓練や武器輸送に関する調整役を担うことで合意した。ロシアとの対立激化を懸念して避けてきた軍事支援への直接関与に踏み出す。 【図】アメリカ大統領選の主な日程
NATOがこのタイミングで関与強化に踏み切ったのは、ウクライナ支援に否定的なトランプ米前大統領が11月の大統領選で返り咲くシナリオを見据え、継続的な軍事支援を担保する仕組み作りを急いでいることが背景にある。
NATOによると、ドイツ西部ウィースバーデンの米軍施設にNATO要員700人を新たに配置する。加盟各国が実施するウクライナ軍への訓練を一元的に監督するほか、各国が供与する武器や支援物資の調達や輸送を管理する。
これらの調整役はこれまで、米軍が主導する国際支援会議が担い、米軍兵約500人が実質的に担当してきた。今後、NATOが徐々に引き継ぐとみられる。
理事会では、支援疲れの懸念を払拭(ふっしょく)するため、各国の分担金を決めて年間400億ユーロ(約6兆7000億円)以上の供与をウクライナに確約する計画も協議された。NATOは7月9~11日にワシントンで行われる首脳会議での合意を目指している。
理事会では、有事に前線配置される「NATO即応部隊」が50万人態勢になったことも報告された。2022年以前は4万人規模だった。