ライトヘビー級王者をTKO撃破!アルバレスの衝撃4階級制覇で村田諒太の最終標的はどうなる?!
アルバレスは、6ラウンドに入ると、ようやくエンジンをかけ強引に前に出た。フックを振り回し、左フックが当たった。右のボディも食い込ませた。7ラウンドには、コバレフがクリンチを多用。8ラウンドにはアルバレスが逆に足を使って下がる場面も。だが、10ラウンドから様相が変わり始めた。 36歳のコバレフの動きが落ちたところにアルバレスがコーナーに追い込んで右ストレートをヒットさせ、続けて左ボディを打ち込む。コバレフの表情が曇る。 衝撃は11ラウンドに起きた。 固めたガードを盾にして前進。左右フックから上から打ち下ろすような右ストレートでコバレフの巨体を崩すと、腰を入れた強烈な左フックをその右耳あたりにお見舞いした。コバレフはふらつき横を向いた。その顎に、とどめの右ストレート。崩れ落ちたコバレフは、セカンドロープをつかんだまま、そこにもたれかかって動けなかった。アルバレスは、観客に「静かに!」というジェスチャーをしたが、レフェリーはTKOを宣告した。 10ラウンドまでのジャッジは、2人が96-94でアルバレス、1人は95-95と僅差だった。もし11、12ラウンドをコバレフが手数でポイントアウトしていれば、ドローだったのだ。 だが、アルバレスにすれば、それも計算づく。 「計画より(倒すラウンドが)少し遅れたが、必然的にそれが起きた。全体的には成功だった」 時間をかけて起き上がったコバレフもリング上でインタビューに応じた。 ダメージを心配するインタビュアーに「大丈夫だ」と答え、「良い経験をした。最後はダメージから回復できなかった。アルバレスは本当に素晴らしいチャンピオンだ。彼は今後も歴史を作るだろう」と続けた。 米国のボクシング専門機関の調べによると、この試合で両者が放ったジャブのヒット数は、カネロの「29」に対してコバレフは「63」もあった。だが、パワーパンチのヒット数となるとカネロの「104」に対してコバレフは「52」と大きく劣った。つまり倒そうという意思を持った右のパンチがなかったのである。 その点をリング上で突かれると、コバレフは、ジャブに固執することが、トレーナーのバディ・マクガート氏の指示だったことを明かし、「私は戻ってくる。もっと強くなる」と、現役続行を宣言した。この試合で経費も含めて1200万ドル(約12億8000万円)が陣営に入ってきたコバレフは、すぐさま病院に直行したという。