元内閣官房参与が「死は存在しない」と主張する「科学的な理由」…まったく新しい世界観「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」とは何か?
田坂広志 たさか・ひろし/1951年生まれ。東京大学大学院博士課程(原子力工学)修了。1990年に日本総研設立に参画、取締役などを歴任。世界経済フォーラム(ダボス会議)メンバー、内閣官房参与などを務める 【写真】死ぬ瞬間はこんな感じです。死ぬのはこんなに怖い この特集の第一部はこちら:【ある夏の日、「死んだはずの母」から着信が…肉親を失った人々に訪れる「あの世からのメッセージ」の正体】
本気で「死の正体」を考えた
私は、本来、原子力工学を専門とする科学者であり、近年では、経営学者として世界経済フォーラム(ダボス会議)にも出席し、内閣官房参与などの公職も務めてきました。その私が『死は存在しない』と題する著書を出すことには、当然、大きなリスクがありました。 現在の科学では「人間は、死ねばすべてが無になる」というのが常識であり、私も科学者として、長年そう考えてきました。それゆえ、本書の出版後、「エセ科学だ」「怪しげな理論だ」という批判も投げかけられています。 一方で、いまも毎日、多くの読者から「本書を読んで、死に対する考えが根本から変わった」「人生が変わった」「救われた」といった声が寄せられています。また、俳優の高橋一生氏を始め、著名な映画監督や経営者の方からも、共感と賛同の声をいただいています。 しかし、私は宗教家ではありません。私は、現在の科学も宗教も、いまだ発展途上であり、どちらも死について思い悩む人々の疑問に答えられていないと考えています。 死は人間にとって最も大きな謎です。その謎を、あくまでも科学的な観点から、特に最先端量子科学の仮説によって解き明かそうとしたのが本書です。そして、この仮説を科学的に検証してもらい、多くの人々に「死の正体」について考えてほしい。そうした思いから、本書を書いたのです。 こう語るのは、多摩大学大学院名誉教授の田坂広志氏(73歳)。原子力工学の博士号を取得後、研究者を経て日本総研の設立に参画した、日本を代表する経営学者のひとりだ。 田坂氏が'22年10月に上梓した『死は存在しない』(光文社新書)がロングセラーとなり、20万部を超えたいまも、新たな読者を獲得し続けている。そこで示された、死についての「科学的仮説」は衝撃的だ。その核心を今回、田坂氏が本誌に語った。