新種の化石発見、支えた素人集団 教室使い、主婦ら削り出し
和歌山県立自然博物館が昨年12月、海生爬虫類モササウルスの新種化石を見つけたと発表した。約6600万年前に絶滅した「海の王者」。推定全長約6メートルの個体を硬い岩から削り出す難作業は、間借りした地元中学校の教室で、主婦や定年退職後の男性ら「素人集団」が担った。 化石が出たのは2006年。京都大の学生が、和歌山県有田川町で偶然発見した。全身の骨が見つかるほどの規模は初めて。10年から本格的に掘り出した。 作業を率いた博物館の小原正顕さんによると、モササウルスは約9800万年前に出現。恐竜ではないものの、映画「ジュラシック・ワールド」で一躍有名になった。 町立中での作業が認められると、丸1日かけて運び込んだ。教室の半分を埋め尽くした岩を前に立ち尽くした。 人手を補おうとアルバイトを募ると、化石を初めて扱う人ばかりが集まった。 当初は難航。小原さんが雑多な部分を削り、骨が見えた後の細かい作業を任せる「配置転換」に踏み切った。
5年がかりで全てを削り出すと、背びれが存在した可能性を示す特徴が見つかった。