嫌われるのはデブのせい?飛べば「マグニチュード」お腹が鳴ると「地震」とからかわれ…!?痩せて変わりたい摂食障害の女の子を描く【作者に聞く】
サイコミで掲載中のイララモモイ(@iroiro_kangae)さんの『付き合えなくていいのに』は、好きなのに付き合えない片思いを描く。今回紹介する「詩歌と北山の場合」は、飛べば「マグニチュード」お腹が鳴ると「地震」とからかわれ、痩せたいと摂食障害の沼に落ちていく女子高生を描く。Xに投稿すると3.5万のいいねが集まり、「みんなコンプレックスの塊」「リアルの女子の人間関係が妙に刺さる」などのコメントが届いている。今回は、イララモモイさんに制作の経緯など話を聞く。 【漫画】「付き合えなくていいのに」を読む ■学校も友達もうまくいかない!「幸せ」を満たしてくれるのは、食べ物を食べている間だけ おいしいものを食べているときは「幸せ」を感じる、ぽっちゃりした体型の詩歌。スポーツテストの走り幅跳びでは、どっすん!と飛んだ姿を見た男子に「今のってマグニチュードどんくらいっすか?」とからかわれる始末。最近は、親友のこっちゃんや有紗といっしょにいても、なんだか疎外感を感じる。嫌なことがあっても、ごはんを食べて満たされることで幸せを感じている詩歌。しかし、家族からも「豚みてぇにがっつくな」「早食いは太るよ」と言われ、ごはんの時間も楽しくない。 そんなとき詩歌を励ましてくれるのが、SNSでつながっている黒猫さん。「よくがんばったね、しいちゃん」と優しくしてくれる。楽しくない毎日だったけれど、黒猫さんと会えるとことで「痩せよう!」というモチベーションが上がり、詩歌はダイエットを始めることに。 今回、詩歌の話を描こうと思ったきっかけをイララモモイさんに聞くと、「もともと摂食障害をテーマにした漫画を描きたい気持ちがあったのですが、『付き合えなくていいのに』のキャラクターの1人である詩歌のバックグラウンドを考えた時に、この設定がしっくりくるように感じ、描くことを決めました」と話す。 詩歌はダイエットを頑張るものの教室でお腹が鳴ったり、トイレで親友に悪口を言われる瞬間を目撃する。どんなに頑張っても周囲は自分を受け入れてくれない。そんな状況が続き、詩歌が「自分には価値がない」と落ちていくシーンは見応えもあり、共感の声も届く。本作でこだわったところを聞くと、「大きなテーマである詩歌の『食への恐怖』や『執着心』は、人間関係への不全感によって強まる部分が大きいと考えていたので、そういった面の絶望感のリアリティにはこだわりました」と、イララモモイさん。 詩歌自身、今の状態を変えたいと思っている。けれど頑張れば頑張るほど、いい方向には進まない。「詩歌のモデル像ははっきりこの人、というものはありませんが、私自身が『食への難しさ』を感じた経験や、摂食障害に関する参考書や論文、SNSで摂食障害の症状について発信している人の投稿などから得た知識を活かしながら詩歌像を作り上げました」 嫌なことがあるたび、コンビニで好きなものを買い込む。友達も黒猫さんも、誰も助けてはくれない。やっぱり「食べ物」だけが「幸せ」で満たしてくれると詩歌は、過食に走ってしまう。本作の続きは、サイコミで読める。また、「『付き合えなくていいのに』は、これまで電子書籍のみ配信されていましたが、2024年11月より紙の単行本も発売されています。ぜひ手にとってみてください!」(イララモモイさん) 取材協力:イララモモイ(@iroiro_kangae)