強いドル、今のところ米財政赤字のファイナンス支援-ムニューシン氏
(ブルームバーグ): ムニューシン前米財務長官は7日、強いドルが今のところ多額の米財政赤字のファイナンス支援に役立っているとの見解を示しつつも、11月の米大統領選の勝者が連邦債務の負担抑制のための新たな取り組みを主導すべきだと、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで呼びかけた。
ドル高が米経済にとって前向きかどうかの質問に対し、ムニューシン氏は「良いものだと思う」とし、「一つには、ドルは世界の準備通貨であり、それにより米国は非常に大幅な赤字のファイナンスが可能となっている」と語った。
ドルは過去1年間に対円で約13%上昇し、それよりは小幅であるものの他の主要通貨に対しても上昇している。価値保存手段としてのドルへの信認が米国債需要を長年にわたり支えてきている。
ムニューシン氏が財務長官として仕えたトランプ前大統領は、米貿易収支の改善のため、ドル安を提唱することもときどきあった。2019年7月には、非常に強いドルは「ある意味では素晴らしいことだが、競争が困難になる」と話した経緯がある。
ムニューシン氏は7日のインタビューで、「ドルは予見可能な将来において準備通貨であり続けると考えられるが、われわれには財政を立て直す責務がある」とコメント。強いドルが米国債需要の支えになっている点について、「長期的には頼ることができないものだ」との認識を示した。
現在は投資会社リバティ・ストラテジック・キャピタルを率いるムニューシン氏は、次期大統領に誰が就任するにせよ、上下両院との協力を開始して財政赤字に対処すべきだと論じた。米議会予算局(CBO)は2月、同国財政赤字が34年度までに2兆5600億ドル(約397兆円)と、24年度の推計1兆5800億ドルから大幅に拡大するとの見通しを示していた。
「こうした赤字は再燃し、真の問題になる」とムニューシン氏は指摘した、「超党派の委員会を設置して今から検討を始めるというのが私の提言だ」と説明した。