【衆院島根1区補選】自民が島根の小選挙区で初めて敗北「保守王国」の固い地盤に亀裂
山陰中央テレビ
敗れた与党・自民党のサイドから今回の選挙を振り返ります。 現在の小選挙区制になってから島根県の選挙区で初めて議席を失った自民党、長く「保守王国島根」と呼ばれ続けてきた固い地盤に大きな亀裂が走りました。 4月28日夜、約200人が集まった自民党陣営の選挙報告会。 投票が締め切られた午後8時直後のことでした。 小選挙区の議席を初めて失った瞬間。 関係者の険しい表情が衝撃の強さを表していました。 安部大地記者: 「錦織さんが選挙報告会の会場に姿を見せました」 錦織功政さん: 「自分の非力を感じている。細田博之先生が長く守って来られたこの島根1区の議席を失ったことの責任を痛感しています」 同じ頃、東京の自民党本部では。 自民党・茂木幹事長: 「自民党に対する様々な批判があるとこれを重く受け止めなければいけない」 今回の島根1区は全国3つの補選の中で唯一の与野党対決となったため中央政界をも巻き込んだ各党の総力戦となりました。 自民党・小泉進次郎元環境大臣: 「逆転のにしこり、逆転のにしこり」 自民党・石破茂元幹事長: 「新しい自民党を作る」 立憲民主党・蓮舫参議院議員: 「なんで自民党の政治家だけがこんなことが許されるのか」 立憲民主党・野田佳彦元首相: 「ペナルティを与えなきゃ、彼ら反省しないですよ」 大物議員が次々島根に入り与野党総力戦となりました。 立憲民主党・泉代表: 「もっともっと生活実感のある政策を前に進めようではありませんか、是非とも島根から変えよう」 さらに与野党両党首が同じ日に2度の島根入り。 自民党・岸田首相: 「保守王国島根の歴史そして志、魂を誰が引き継ぐのか。逆転のにしこり、逆転のにしこり、どうぞ皆さんよろしくお願いを申し上げます」 岸田総理も駆け付けた選挙戦最終日のマイク納めには会場を埋めるほどの人が集まりました。 一方で、この日ほかの街頭演説会場では。 聴衆のために設けられた区画の3分の1は空いていました。 さらに会場にいた有権者からは。 Q裏金問題とか納得できた? 有権者: 「納得はしない。今の自民党にはまかせられないということですかね」 想像以上に強かった自民党への逆風。 ほかの日の会場でも。 観衆: 「裏金問題はどうした!いい加減にしろ自民党」 街頭演説中でさえ厳しい声を挙げる人も。 通りかかった人: 「あなたの言う通り、よかったよ」 自民党政治刷新本部の有識者メンバーの1人でもある専門家は今後の岸田総理の政権運営や政治改革への影響は甚大だと指摘します。 東京大学公共政策大学院・谷口将紀教授: 「全国に対するインプリケーションは極めて大きいとてもではないが、総選挙は戦えないのではないかという声が出てくると思う。今後の政治改革の与野党協議でもより大きな譲歩を与党側は求められる思い切った改革案を打ち出さざるを得なくなる」 竹下登元総理や参院のドンと言われた青木幹雄元官房長官など大物議員を輩出してきた全国屈指の保守王国島根。 1996年の衆議院選挙から導入された小選挙区では自民党は議席を独占、一度も議席を失ったことがありませんでした。 現代政治に詳しい専門家は、後援会の高齢化など組織の弱体化も敗因の一つとして「保守王国崩壊」の始まりとも指摘します。 法政大学大学院・白鳥浩教授: 「自民党の後援会が高齢化してきている。その組織の運動量が減少していることが考えられる。保守王国の崩壊の始まりと言っても良い。これまでの島根保守王国を支える国会議員は基本的に地方政治と密な関係ところが錦織さんは必ずしもこれまでほど強くはない候補者のタイプが変わってきている」 中央政界でも影響力のあった重鎮がいなくなり、迎えた歴史的な敗北に地元選出の国会議員や県連幹部は。 Q保守王国として偉大な先人がいた場所での敗北は? 自民党島根県連副会長・青木一彦参院議員: 「これはご時世があるからね。前もいろんな時期があって自民党の国会議員が負けた時期もありますし、一概にどうのこうの言えないと思います」 自民党島根県第一選挙区支部幹事長・嘉本祐一県議: 「保守王国の崩壊というようなことはなかなかピンと来ていない印象。自民党としての政策・理念それをしっかりとこれからも我々としては地道に歩んでいきたい」 自民党島根県連・細田重雄会長: 「残念です、残念です」 Q県連としての責任は? 自民党島根県連・細田重雄会長: 「幹事長に聞いてください」 衆議院議員の任期は残り約1年半。 それまでに行われる次の総選挙に向け、候補の擁立などをどのように進めていくのか、選挙戦略の見直しなど島根の自民党の前には大きな壁が立ちはだかります。
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