安倍首相「自衛隊違憲論争に終止符を」党大会で9条明記の必要性強調
自民党は25日、都内で定期党大会を開き、安倍晋三首相(総裁)が憲法改正について、9条に自衛隊を明記し「違憲論争に終止符を打とう」と演説の中で訴えた。
それに先立ち、二階俊博幹事長が党務報告の中で、「自衛隊の明記」「教育の無償化・充実」「緊急事態対応」「参議院の合区解消」の4項目に関する党内議論の進ちょくについて説明。各項目の条文たたき台の素案において「一定の方向性を得ることができた」と述べた。今後はこの方向性を基に衆参の憲法審査会で議論し、各党や有権者の意見を踏まえて改正原案を策定し、憲法改正の発議目指すとした。 22日の党憲法改正推進本部(細田博之本部長)では、9条改正をめぐり、戦力不保持を定める2項を維持して自衛隊を明記する方向で、細田本部長に対応が一任されている。 安倍首相は総裁演説の冒頭で財務省の決裁文書改ざん問題に言及し、「国民の行政に対する信頼を揺るがす事態になっており、行政の長として責任を痛感している。行政全般の最終的な責任は内閣総理大臣である私にある。あらためて国民の皆さまに深くお詫びを申し上げる」と陳謝した。「なぜこんなことが起こったのか、徹底的に明らかにし、全容を解明する。このようなことが二度と起こらないように組織を根本から立て直していく、その責任を必ず果たしていくと約束する」と述べた。 そして、憲法改正について「いよいよ結党以来の課題である憲法改正に取り組む時が来た」と切り出し、現状は多くの憲法学者が自衛隊を憲法違反と指摘するといい、「このままでいいのか。憲法にしっかり我が国の独立を守り、平和を守り、国と国民を守る自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とう」と呼びかけた。 党大会後、9条2項の削除を求めている石破茂元幹事長は、自衛隊は国の独立を守る必要組織などと党内で議論してきたが、「そのことには言及しないまま、昨年5月のビデオメッセージと全く同じことを話された。(総裁から)国会議員に向けた説明の場もなく、中身について何もおっしゃらない」と改憲論議の進め方に疑義を呈した。