「内田裕也vs.やくざ4人」の一部始終…問題作『コミック雑誌なんかいらない!』の今だから話せる「裏話」【岡田裕×滝田洋二郎×伊藤彰彦】
令和6年6月14日(金)、東京・神保町にある書泉グランデ6階のイベントスペースにて、講談社刊『なぜ80年代映画は私たちを熱狂させたのか』の発売記念トークイベントが行われた。著者である伊藤彰彦氏が司会を務め、岡田裕、滝田洋二郎(監督)両氏をゲストに招いて、岡田・滝田の名タッグが生んだ、内田裕也主演、80年代を代表する名作『コミック雑誌なんかいらない!』の裏話を赤裸々に語る本イベントのハイライトをお届けする記事第2弾。「疑惑の銃弾」の三浦和義、山口組と一和会の抗争、豊田商事事件、さらに撮影中に発生した日航機墜落事故等々撮影時の歴史的事件や人々に、リポーターに扮した内田裕也という稀代のロックンローラーにして名優が体当たりで挑むこの問題作に著者の伊藤氏が容赦なくメスを入れていきます。衝撃の事実が白日の下にさらされる後編をお楽しみください。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性 構成/岩佐陽一 前編記事『内田裕也からの「突然の電話」…アカデミー賞受賞監督が戸惑った「予想外の言葉」…問題作『コミック雑誌なんかいらない!』秘話【岡田裕×滝田洋二郎×伊藤彰彦】』はこちらから
何をやっても許された
滝田いざ『コミック雑誌なんかいらない!』の撮影が始まっても僕らはほったらかしでした。そこに岡田さんがプロデューサーとして入ってくださいました。まず台本にNCPと入っておらず、制作に「頭脳警察」としか入っていません。こんな無茶苦茶な話はありません(笑)。次に「スタジオやロケ場所をどこまで借りる?」という話になって警察にロケ申請に行くと台本を読むなり「ふざけんな」と言われました(笑)。スタッフルームも大体は脚本に「日活」と書いてあります。外注に出していたとしても、日活内部で作るという意味でスタッフルームは日活撮影所内に設けます。当然僕も、助監督時代にそこで働いたことはありますが、監督として使ったことはありません。「やっと日活の撮影所を使える」と思ったら使えずに「自分で捜しとけ」と言われて。仕方がないから外波山文明さん(編注:俳優・演出家/劇団・はみだし劇場を主催)の「はみだし劇場」の稽古場が安く借りられるというので、そこをスタッフルームにしました。それこそ畳の部屋でしたから、ニュー・センチュリーと始まりはいっしょです(笑)。それでお金(予算)のことは岡田さんにお任せしました。 伊藤その一連の動きというのは、社長である岡田さんは知っていらしたんですか? 岡田大筋は聞いていましたけど、ほぼお任せしていたので細かいところまでは全然知りませんでした(笑)。 伊藤『コミック雑誌なんかいらない!』製作当時、NCPは吉川晃司の『テイク・イット・イージー』、松坂慶子主演・藤田敏八監督の『波光きらめく果て』、とんねるずの『そろばんずく』、『おニャン子ザ・ムービー 危機イッパツ!』、倉本聰の『時計 Adieu I’Hiver』までやられていて。倉本聰と『コミック雑誌~』を同時に撮影されて(笑)。社長としては何がなんだかわからないですよね?(笑) 岡田何がなんだかではないけれども(苦笑)、ちょうど独立プロがそういったグループを作るはしりみたいなところもありましたし。日活という親会社自体も自分たちの足元が非常に不安で、会社自体が不安定でしたけど、彼ら(独立プロ)をうまく泳がせて映画を当てていこうというもくろみがありました。そういう意味では、非常に自由な空気の中で、何をやっても許されて、本当によかったですよ。