「特攻の母」鳥濱トメさんの夫を演じながら見えるもの 当時の若い隊員たちの「思い」…今の私たちと大差ないのではないか
戦後教育的に、若者を兵器として無差別に消費したと断罪をするのは簡単だ。だが「国が亡ぶ、亡ばない」と叫ばれている中で、愛を感じる人たちのために、若い彼らが何かを悟る気持ちは、わずかではあるが理解してしまう部分がある。
避けられない運命の中で、最後に少しでも多くの「やさしさ」や「情」を生み出したいと思ったのだろう。私にもそんな部分があるし、誰にでもそんな本能がある。
特攻隊の若者たちを営利的に美化するのは大罪である。
だが、その逆にこの現代の日本には、引きこもりながら親を足蹴にするような、ぶっ壊れた若者がいるのも現実。
どちらが壊れた社会であるか、簡単に判断はできないと思ってしまう。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画「首都高速トライアル」で俳優デビュー。90年には「スプラッシュ」で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。NHK・Eテレ「ワルイコあつまれ」セミレギュラー。
29日から、東京・俳優座劇場で上演される特攻隊を描く舞台「帰って来た蛍~永遠の言の葉~」に出演する。