「ピクスタ」自社株買い推進中 写真、イラスト、動画などビジュアルプラットフォーム事業の世界的企業に 最高益更新も
【天野秀夫 中小型厳選株】 日銀金融政策決定会合、米10月雇用統計、そして米大統領選という日米の大きなイベントを経て、目先の関心は7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表となります。日経平均は3万8000円ラインを挟んでの乱高下が続いていますが、衆議院選を控えて低下していた東証の売買代金も回復し始める中、相場の方向性もそろそろ見えてきそうです。 一方、企業決算が中盤に入る中、6日午後にトヨタ、7日にフジクラ、東京地下鉄、8日にソニーグループ、来週12日にソフトバンクグループが決算発表を予定し、14日で決算シーズンは一巡します。来週までは、決算発表に一喜一憂する展開が続き、その後に選別物色が始まります。 全般相場は、不安定な展開が続く可能性が高いことから、東証グロースを含む小型株はその影響を受けて、急な下振れリスクを警戒する必要もありそうです。そのため、自社株買いを継続中の企業は、その下振れリスクが軽減されることが期待できます。東証グロースの「ピクスタ」(3416)は、自社株買いを推進中であることが注目できる銘柄です。ピクスタは、写真、イラスト、動画、音楽素材などを利用者にネット販売する「PIXTA」運営のビジュアルプラットフォーム事業を展開しています。 2月に発表した自社株買いは、自己株式を除く発行済株式総数の16・31%に当たる32万株、取得金額2億3000万株をそれぞれ上限として、取得期間は2月28日から2025年1月31日に設定されました。発行済総株式数の16%強という大規模な自社株買いの実施です。開始から9月末までの累計で16万4700株、取得金額で1億5125万円を取得していますが、株数ベースでの消化率は51・4%、金額ベースでは65・7%となっており、買い余力はまだ十分残されています。 写真を中心とする素材の提供という、一見すると地味な事業ですが、AI(人工知能)開発プロジェクトの増加に伴って、素材調達データに対する権利意識の高まりがあり、PIXTAの特徴である著作権・肖像権などの権利関係がクリアになった商用利用可能な画像・動画データなどでの利用が拡大するというニーズが高まっています。実際、同社では今年8月に23年下期と24年上期比較で、PIXTA機械学習用データの受注額が約3・3倍に拡大しています。 さらに、同社は8月に米国やドイツのAIデータライセンシング業界の企業と同社を含む7社で、倫理的なデータ調達を推進する業界団体を結成しています。AI開発とその発展を支える世界的企業の一社というポジションを確立した企業という評価ができるでしょう。