KADOKAWAも被害、サイバー攻撃どう防ぐか ドワンゴは壮絶な事態…国民生活に影響「基幹インフラ」は常時監視を
【日本の解き方】 出版大手KADOKAWAグループへのサイバー攻撃があり、傘下のドワンゴが運営するニコニコ動画のサービスが長期間停止されている。サイバー攻撃への企業の対策や、国としての取り組みはどうあるべきか。 【画像】状況を報告したニコニコの栗田代表のSNSの投稿 筆者は、動画配信についてYouTubeとニコニコ生放送の2つのプラットフォームを使っている。 6月8日、ニコニコ生放送の担当者から、システムの不具合で当面配信ができないというメールが来た。その後、14日の公表文によれば、今回の件はランサムウェアを含むサイバー攻撃によるものと判明したが、KADOKAWAグループの他の企業も影響を受けている。 今のところ、7月末までニコニコ生放送はできないようだ。 この間の補償についてドワンゴは、プレミアム会員・ニコニコチャンネル有料会員の月額会員料、N予備校の月額会員料、ニコニコチャンネルの運営者への収益分配などを補償対象としているが、その範囲などは今後検討するという。 17日の東京株式市場で、KADOKAWA株が大幅反落し、終値は前週末比293円50銭(9・3%)安の2851円50銭だった。もっとも21日終値では2987円まで戻した。 ランサムウェアは「身代金要求型ウイルス」といわれ、パソコン内のデータを開けなくしたり盗んだりして、復元や暴露回避のための金銭を要求するものだ。 それへの対策としては、データをバックアップしておき、ランサムウェアにより暗号化され使えなくなったデータをすべて削除し、バックアップしていたデータからシステム復旧するというものがある。 KADOKAWAも当然データをバックアップしていたはずだが、多数のサーバーがランサムウェアでやられるという想定外の事態だったのだろう。 14日の公表文によれば、サーバーの電源ケーブルや通信ケーブルを物理的に抜線し封鎖、ドワンゴ社員の「歌舞伎座オフィス」への出社を原則禁止とし、社内ネットワーク、社内業務システムも停止したという。システムを少しでもかじった者から見れば、壮絶な事態で、相当な混乱があったようだ。 今回の事件は現在進行中なので、攻撃者に情報を与えないよう詳しいことは何も公表されていない。現段階で憶測で話すべきではないが、単純な外部からの侵入以外の可能性も含めて捜査中なのだろう。