「実はがん治療を始めてから5キロ太ったんですよ(笑)」 乳がん公表「梅宮アンナ」が気づかされた、闘病生活を左右する“最も大事なこと”
ウィッグとつけまつ毛
その後に、もうひとつの抗がん剤「シクロホスファミド」、最後に生理食塩水を投与して1セットおよそ1時間半の治療が終了となります。正直なところ、当初は「1時間半も点滴に費やすのは大変だな」と感じたのですが、周りで抗がん剤治療を受けている方のなかには1回6時間とか、長い人では9時間に及ぶケースも……。内臓にがんが見つかるとどうしても時間が長くなるようです。 一方、がん治療と聞いて、私がずっと病院に入院していると勘違いする人も少なくありません。実際は、こうした治療を受けるために自宅から通院しているんですけどね。抗がん剤の進化で副作用が軽減され、これまで通り自宅で生活を送れますし、効果的な吐き気止めのおかげで投薬の後にテレビ出演することもできました。がん患者の生活というのも自分が罹患しなければ想像できなかったことですね。 もちろん、髪の毛が抜けたり、筋肉に痛みやしびれを覚えたりといった抗がん剤の副作用は私にもあります。治療の次のステップである「パクリタキセル」は、より副作用が強いみたいで不安もあります。それこそまつ毛も抜けてしまうのだとか……。でも、私はなるべく自分の生活を変えないようにしたいと考えています。 「がん闘病中にファッションのことなんて……」というご意見もあるかと思いますが、髪の毛が抜けたら自分好みのウィッグを被りたいし、まつ毛が抜けることを覚悟して“つけまつ毛”のサンプルを取り寄せたばかり。常に体調不良で、気が滅入ることもしょっちゅうなので、そういったことに楽しみを見出すのはプラスだと思うんです。
体力がないと「食べること」が困難になる
そして、がん闘病を続けるなかで、重要性に気づかされたのが「体力」ですね。体力が闘病生活を左右すると言っても過言ではありません。一般的なAC療法は3週間おきに抗がん剤を投与しますが、体力があった私は2週間のインターバルで治療することができたんです。私はこれまでサハラ砂漠を走り抜く過酷なマラソンに挑戦したり、険しい山道を駆け抜けるトレイルランに取り組んだりしてきました。そこで培われた体力には本当に助けられています。当然ながら、どんな抗がん剤も体力がないと使い続けることはできません。また、体力不足から免疫や抵抗力が落ちてしまうと様々な症状に悩まされます。 何より、体力がないと「食べること」が困難になるんですね。バランスの取れた食事はエネルギーの源です。ただ、抗がん剤治療を続けると吐き気を催すこともあれば、喉に大きな口内炎ができたりするので、どうしても食事を遠ざけてしまう。私の場合も味覚障害が起きていて、バームクーヘンを食べても以前のように甘みを感じられません。それでもとにかく食べる。気分が落ち込んでも、吐き気が襲ってきても、きちんと食べる。がんと戦う「体力」を維持するためにそう心掛けています。その結果、治療を始めてから5キロ太ったんですよ(笑)。体重が増えるがん患者は珍しいと思いますけど、でも、それくらい食事は大事にしていますね。たとえば、食品宅配サービスを手がけるオイシックス(オイシックス・ラ・大地)は、「がん患者さんとつくったヘルスケアOisix」という、患者とその家族向けのミールキットの販売を始めたそうです。こういった患者目線に立ったビジネスはありがたいですね。 デイリー新潮編集部
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