「豚肉かと思った」 臭みがない伊平屋島のヤギ汁 自然の草で育ち繊細な味に 若者や女性にも人気
沖縄・伊平屋島の生活に欠かせないのがヤギ汁だ。上棟式などの行事や祝い事の際は「ヤギ汁がないとみんな納得しない」と村民は異口同音に語る。 【写真】「伊平屋ブルー」と呼ばれる、美しい遠浅の海。沖縄の原風景が残る島だ 伊平屋のヤギは飼料ではなく自然に生えている草を食べて育つ。こうした草は「海風を受けミネラルが豊富」(伊平屋村商工会の伊豆味文徳会長)で、そのためか伊平屋のヤギは生育がよく、特有の臭みがほとんどない。若い世代や女性にも好まれる理由だ。 軟らかめなら塩、固めならみそと肉質に応じて味付けを変え、ごく薄味なのも特徴だ。食べる際は塩を足すなどしてそれぞれが自分好みの味にしていく。一見すると普通のヤギ汁のようだが、こうした伊平屋流の食べ方はむしろ調理する人の目や腕が試されるのだという。 同村我喜屋の海鮮料理店「海魚(かいぎょ)」(野甫武志代表)は、伊平屋フェアでこの繊細な味のヤギ汁を提供する。「本島でもいろんなところでヤギを食べたけれど、伊平屋と比べるとやはり癖が強過ぎると感じた」とは最近帰島し海魚で働く野甫太志さん(28)。伊平屋のヤギ汁は、知らずに食べたら豚肉料理か何かだと思いかねないほど他地域と比べ食べやすいと話す。 海魚では、調味料として塩のほか自家製ラー油も用意しているという。店を切り盛りする野甫節子さん(59)は「島でしか味わえないヤギ汁をこの機会に食べてほしい」とアピール。気に入ったらぜひ島を訪れ、伊平屋の雰囲気を楽しみつつ味わってほしいと願う。 海魚ではこのほか、イカスミ天ぷらやテナガダコなど、島ならではの海産物で海魚の定番メニューも取り扱う予定だ。