愛知・蒲郡のロープ会社が工場をeスポーツアリーナに
10月下旬頃のオープン目指して準備着々 「市鶴製綱所」の市川社長
愛知県蒲郡市本町のロープ製造「市鶴製綱所」の市川晶康社長(42)は、同社敷地にある木造平屋建ての繊維ロープ工場をeスポーツアリーナ「クレインズネスト」に生まれ変わらせた。三河地区初。10月下旬頃のオープンを目指し準備している。【林大二朗】 市鶴製綱所は約90年にわたり、繊維ロープの製造とワイヤロープの加工に携わってきた。しかし、近年の原材料費や輸送費などの高騰で繊維ロープ製造が難しくなり、昨年、製造事業からの撤退を決断した。 市川社長は工場の跡地利用と新規事業を考えていた。知り合いの経営者にヒアリングする中で、Z世代の若者が会社の福利厚生イベントに参加しない状況を知った。そこで若者に人気があり、誰でも楽しめるeスポーツに注目した。 eスポーツは「Electronic Sports(エレクトロニック・スポーツ)」の略称で、モバイルゲームやビデオゲームを使った対戦に、スポーツの競技性を加えたものを指す。社員同士の親睦を深めたり、地域の子どもから大人までが存分に楽しめたりする施設にしようと、工場を改装した。アリーナ名は社名の「鶴(クレイン)」と、「巣、たまり場(ネスト)」を組み合わせた。「地域の人が気軽に集える場所になってほしい」との願いが込もる。 敷地は195平方㍍。施設はエントランスや作戦会議用のブースルーム、大会ができる95平方㍍の広々としたアリーナからなる。木のぬくもりを感じられる空間で思う存分ゲームが楽しめるよう、防音対策も万全。ゲーム機やパソコン、観戦用のプロジェクターなどの機材を完備したので手ぶらで来ても遊べる。
幅広い世代の「たまり場」に
「クレインズネスト」は蒲郡市内の飲食店のフードデリバリーが利用できるほか、飲食物の持ち込みが可能。歓迎会や忘年会と一緒にゲーム大会も開いて楽しんでもらう。また、高齢者向けのレクリエーションや企業セミナーなどの幅広い用途でも活用できる。 8日、市内の子ども向けにプレオープンし、ゲームイベントを開いた。多くの子どもがゲームを観戦したり実際にプレーしたりして楽しんだ。参加した蒲郡中学校1年の恒川昌輝さんは「身近な場所にeスポーツが楽しめる施設ができてうれしい」と話した。 市川晶康社長は「みんなのたまり場になってほしい。eスポーツの草野球場を目指しているので気軽に来て」と呼び掛けている。 料金はエントランスが無料。アリーナは昼の部(午前9時半~午後2時)と夜の部(午後5時半~同10時)がありいずれも12万3750円。ブースルームは1万7600円。10月下旬頃から、公式サイトで予約できる。
東愛知新聞社