【女性が抑圧から解放された瞬間】湯川れい子が語るビートルズ来日で日本が変わった
■抑圧から解放された瞬間だった
だから、私たちにしてみたら、あの時ビートルズが来て「キャー」ってあれだけの大きな声を女の子が初めて出せたんです。でも、それに対して警備してた日体大の学生とかが、「座って聞け」とか、「ギャーギャー言うな」とか言って大変だったんですよ。「何でこんなことが起きるんだ。何でこんなみっともないことをやるんだ」って。まだ日本は全然そういう感じ。 だから、ビートルズの合同記者会見で彼らがステージに出てきた時に、私が「キャーッ、ポール」って叫んだら、翌日の新聞に“恥さらし”って書かれましたよ。 だって、あの時、その「キャー」っていう衝動を抑えられなかったから、うれしくて。それには何の方向性も欲もない。“一種のときめき”ですよね。“生きる喜び”ですよね。 ただ、それは日本の場合、戦前にはあり得なかったです。戦後やっと初めて解放された姿だったんだと思います。 だから、私から見ると、あの8000人の女の子が何の方向性も持たない、ただうれしくて「キャー」って言ってる声は、小鳥の集団のように聞こえたんです。きれいでした。かわいかった。