中国、認知症患者1500万人 老いる文化大革命世代
【北京共同】中国で毛沢東が引き起こした大規模政治運動「文化大革命」(1966~76年)の時期に若者だった世代が老年期を迎えている。65歳以上の人口が2億1千万人近く、60歳以上の認知症患者は1500万人に上る。介護需要の増加が見込まれ、高齢者関連産業の2030年の市場規模は20兆元(約415兆円)との試算もある。 「施設に預けたいけど世間体があるから」。北京市の女性は、地方の農村に住む認知症の祖母のことで悩む。地元では家族を介護施設に預けることは「不道徳」と見なされてしまうためだ。 文化大革命の混乱期に毛沢東礼賛の中で育った世代は保守的な価値観を持つ人が多い。認知症の知識が不足し、アルツハイマー型認知症を不名誉と捉える風潮が受診の拒否や治療の遅れにもつながっている。 中国民政省によると、22年末時点で介護施設は38万7千カ所、ベッド数は829万4千床ある。政府は関連企業に増床を促すが、業界関係者は「空きベッドが多く、黒字化が難しい施設も多い」と語る。