海沿いの「塩水プール」が消えた! 能登半島大地震「海水面が異様に退き…」戦慄の“海退”衝撃写真
海岸線沿いに衝撃の光景が広がっていた。 海水が自然に流入することで有名な「塩水プール」。そこから水がいっさい消えていたのだ――。 海岸沿いの「塩水プール」が消えた!能登大地震「海水面が異様に退き…」戦慄の“海退”衝撃写真 能登半島大地震が発生してから1ヵ月余りがたった。朝市で大火災が起きるなど被害の大きかった石川県輪島市で記者が取材をしていると、地元の人から不思議な言葉を聞いた。 「『塩水プール』も無くなっちゃったんだろうねぇ……」 「塩水プール」? 地元民に聞くと、波が打ちつける海沿いの平坦な岩礁を掘削してコンクリートで囲った、自然を利用したプールだという。輪島港の先にあり「鴨ヶ浦塩水プール」と呼ばれ、独特の珍しい地形に建設されたため登録有形文化財(建造物)にも指定されている。 地元民が話すとおり「塩水プール」は消えているのか。確認すべく現地へ向かった。 ◆あたりを漂う強烈な異臭 だが行程は障害が多かった。道路は狭く、倒壊した家屋や瓦礫が行く手を阻む。現場近くでは崖崩れで車が通れず、磯場を歩いて向かった。 誰もいない景勝地。時折、ドーンと打ち寄せる波の衝撃音が静寂を破る。「鴨ヶ浦ポケットパーク」というパーキングエリアには、ポツンと1台の軽自動車が停まっていた。地震による土砂崩れで進退きわまり、乗り捨てられたのだろう。 遊歩道をさらに歩くと「鴨ヶ浦塩水プール」はあった。確かに内部には、自然に溜まるはずの水が一滴も無い……。本来なら潮の満ち引きにより、海水が流入するのだろう。側壁にはコースを示す1~6の文字が。「塩水プール」が消えた理由は、海岸線が異様に退く“海退”によるものだという。 「国土地理院によると、能登半島大地震で地盤が最大4m隆起したそうです。そのため約90㎞にわたり、東京ドーム約94個分にあたる4.4k㎡の広大な範囲が海から陸に変わってしまった。『塩水プール』が消えてしまった理由です。 もともとの海岸線は、最大で240mほど遠のきました。平均的な地盤隆起の速度は一年で1㎜ほど。それが地震直後のわずか4秒から5秒の間に、最大4mの隆起が起きたんです。単純計算で4000年分の隆起が、一気に起きたことになります」(取材した全国紙記者) 海底が急に陸地になったため、多くの魚や貝が死んだのだろう。あたりには強烈な異臭が漂っていた。水の無くなった「塩水プール」。自然の猛威をあらためて思い知らされる戦慄の現場だった。 取材・PHOTO:川柳まさ裕
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