「これからどうすれば…」80代男性が所有する「110坪の土地」を前に思わず嘆いてしまったワケ
「終活」を考えはじめたとき、多くの場合で問題に上がるのが「実家の相続」でしょう。いま持っている土地や資産をなるべく減らさないように、次の世代へ引き継ぐためにはどのような対策が可能になるのでしょうか。 【マンガ】マイホームは「持ち家」か?「賃貸」か? ついにその「答え」がわかった… 相続をサポートする会社『夢相続』を運営する、相続実務士の曽根恵子さんが80代男性Yさんのケースから、相続に関する疑問を紐解いていきます。
両親からの相続は円満だった
Yさん(80代男性)は長男として実家を継いで、守ってきました。父親が20年前に、母親が10年前に亡くなり、相続の手続きが必要でしたが、同居するYさんが自宅を相続し、姉には現金を渡す形で遺産分割協議ができ、円満に済ませられました。 両親の財産は自宅とその敷地にあるアパートで、土地は約110坪あります。最寄駅から徒歩3分の好立地にあり、土地の評価も高いエリアです。
自宅とアパートは築50年
自宅とアパートはYさんの父親がほぼ同時期に建てたもので、築50年になります。当時は祖父母、両親、Yさん家族の4世代が住む時期もあり、自宅の建物は50坪ほどある2階建てです。現在は、Yさん夫婦と40代の長女の3人住まいとなっています。 アパートは8世帯あり、軽量鉄骨で2DKの間取りです。最寄駅からほど近いことや退去のたびにリフォームしてきていますので、現在は満室経営ですが、リフォーム代は少なくないため、家賃で生活する現在となっては、家賃が貯まるほどの余裕がなくなり、これからどうすればいいかと相談に来られました。 Yさん夫婦が80歳になったこともひとつのきっかけであり、娘のための対策をしておきたいというご希望でした。そこでYさんから委託を頂き、夢相続で「相続プラン」を作成することになりました。
相続税が5000万円近くかかる
父親の相続のときは母親が相続しましたので、配偶者の特例もあり、納税は不要でした。母親の相続のときは同居するYさんが相続しましたので、まだ相続税の基礎控除が5000+1人1000万円のときで7000万円あり、小規模宅地等の特例により、やはり、相続税の申告は必要でしたが、納税は不要という範囲でした。 ところが現在では、相続税の基礎控除は4200万円となり、相続財産が2億5000万円の場合、相続税は4920万円と試算されます。1回目は配偶者の特例により納税は0になっても、二次相続では相続人が娘1人となるので、相続税は6860万円になります。このままでは7000万円近くの預金を残すことは難しいため、次の相続では自宅かアパートを売却して相続税を捻出することになりそうです。