漫画家・楳図かずおさん、著書で明かしていた大きな“野望” 「外国が全部終わったら、今度は…」
『漂流教室』や『まことちゃん』など、ホラーからSF、ギャグ漫画まで幅広く手がけた漫画家の楳図かずおさんが、先月28日に88歳で亡くなりました。楳図さんは書籍で自身の漫画や大きな野望について明かしていました。 【画像】先月には新作制作を発表していた漫画家・楳図かずおさん
■楳図かずおさんが1970年代に生み出した超長編ストーリーたち
1970年代、雑誌の連載を1本に絞り込んだ楳図さんは壮大なテーマを持つ超長編ストーリー作品を複数生み出しました。子供の社会を新しい視点で描きながら、人類の未来を見据えたSF作家として新たな世界を切り開いていきました。 代表作『漂流教室』は1972年から1974年の間、週刊少年サンデーで連載。小学6年生の主人公・翔が通う小学校が、ある朝突然、爆音とともに校舎ごと未来へタイムスリップ。大人のいない世界で、新たな社会を形成していこうと決意する主人公と仲間たちの姿を通し、人間の持つさまざまな愛の形や裏切り、そして存在意義を描いた傑作です。1975年には、ほか一連の作品とともに『第20回小学館漫画賞』を受賞しました。
■楳図かずおさんが語る漫画への思い 「できれば宇宙船に乗せてもらいたい」
1995年5月に発売された楳図さんの著書『ウメカニズム:楳図かずお大解剖』(小学館)。著書の中で楳図さんは「ぼくの生活ってドラマチックってまったくないんですよね。ドラマチックがなくって、想像ばっかりがあるから、逆に、想像の方はいっぱいあるけど、自分自身は何にもしてないわけですよ。だから、問題はそこですよね(笑)。自分自身の体験から漫画を描いてるわけじゃないので」と明かしています。 また、楳図さんは“ホラー漫画の神様”と呼ばれていたこともあり「やっぱり、いつもホラーという部分は大事にしたいと思ってる」と語っていて、幼稚園児の沢田まことが主人公のギャグ漫画『まことちゃん』でさえもホラー度数が0パーセントになることは絶対にないとも語っています。 さらに、1970年代は超長編漫画を描く中で挑戦していたことがあったそうで「漫画を芸術に近づけようとしてるんです」と明かし、自身の漫画を「あわよくば外国に売り込もうと思って。(中略)外国が全部終わったら、今度は宇宙でしょうか。宇宙人に売り込まないと(笑)なんとかコンタクトをとって、できれば宇宙船に乗せてもらいたい」と野望を明かしていました。
そして、著書のあとがきには楳図さんから「サバラはまた会うための愛言葉!! グワシ!! はできなくてもサバラはできる!! これからもお友達でいてください」と読者へメッセージを送っていました。