【バレー】ニコラ・グルビッチ連載②ポーランド代表の強化につながった“実りある時間”。指導者としての願いは「選手たちが最高のバレーボールをする」こと
ポーランドの強豪ケンジェジン-コジエで欧州クラブタイトルを獲得
現在の男子ポーランド代表監督に就任したのは2022年から。その前段階として、ポーランド・プラスリーガのケンジェジン-コジエ(ZAKSA=ザクサの名称が一般的)で2019/20シーズンから2季、指揮を執ったことはアドバンテージにつながったようだ。特に20/21シーズンは国内二冠を達成、最後はCEVチャンピオンズリーグ制覇を遂げている。 「あそこで、現在のポーランド代表メンバーの多くと知り合えたことは大きかったですね。その分、代表において彼らが問題を抱えたときも、何を望んでいるか、そのうえでどんな練習が必要か、また、それを説明することがとてもやりやすいです。それにザクサで過ごした時間そのものが、コーチとしての私を成長させてくれました。選手たちから素晴らしいフォードバックをもらえましたし、お互いにとって実りある時間でした。 私自身がよりよい指導者になることができましたし、代表の監督として仕事をするうえで多いに役立ちました。彼らのメンタリティーを学び、モチベーションを高め、そして一緒に戦う方法を学べた。だからこそ今、いい協力関係を結べています」 20/21シーズンのCEVチャンピオンズリーグ決勝のラインナップを見ると、シリフカの対角にカミル・セメニウクが入り、オポジットはウーカシュ・カチュマレク、ミドルブロッカーはヤクプ・コハノフスキといずれも今のポーランド代表で主力を張る面々。なお、シリフカはそこでMVPに輝いている。 グルビッチ監督は言う。自身が成長すること、それは指導者であれ、選手だった頃から変わらぬ思いなのだと。 「私は常に向上しよう、よくなろう、そして新しいことを学ぼうという思いで過ごしてきました。そして指導者になった今も、自分の知識やコーチングが選手たちにどのような影響を与えるかを確認しながら、それを応用してさらに生かしていこうと考えています。最終的には、一緒に戦っているすべての選手から最大限の力を引き出すことが私の仕事です。 チームのポテンシャルを最高まで引き上げる。それが誰であろうとも自分のチームにいる限りは、最高のバレーボールをしてほしい。そこに向かって、ともに歩んでいくわけです」 最高のバレーボールを。今夏、それを実現する舞台がパリオリンピックとなる。そこに至るまでの歩みとは。 【第3回に続く】 (取材・文/坂口功将)
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