70歳・小日向文世、全うした俳優人生最後の“欲張り”「代表作に巡り合えたら」
■■『Believe』の木村拓哉は「若くなってる」 さらにこれまで幾度も組んできた木村の印象にも、新鮮さを覚えているという。 「今までの僕が知ってる木村くんの役どころって、どちらかというとヒーロー的な存在、ヒーロー的なものを兼ねている役柄、というか、いずれにせよ脚光を浴びる人だったんだよね。ひとりバーンと突っ走っていくような印象。でも今回は、ある事件に巻き込まれて翻ろうされていくんです。いろんな人たちと関わって、ぐるぐる振り回されていく。そこで苦悩していく木村くんは、僕にとってすごく新鮮です」 そして“苦悩する役柄”としながら「なんか若返っている」とも。 「51歳に見えないんですよ。前回会ったときはCX(フジテレビ『教場』)だったんだけど、役作りもあってか、表情がひとり孤高で暗い感じだった。今はそのときより若くなってる。それと柔らかくなった感じがあります。実際の絡みはまだ1話で放送された部分しかないんだけど、現場でふっと会ったときの感じとか、柔らかくなって若くなった印象だし、どこか今までと違うんですよね。新鮮な感じがありますよ」
70歳迎えての本音「もういいやって思うところも」
■■父が亡くなった80歳まであと10年「毎日考えますよ」 若いといえば、小日向もいつもハツラツと若々しい印象。この1月に70歳を迎えたが、俳優は定年のない職業だ。しかし小日向本人は、「正直、ちょっと面倒くさくなっちゃって」とこぼす。 「家にいるのが楽しくて、現場に行きたくなくなっちゃうんです。おじいちゃんって、家にいて、甘いものを食べながらお茶飲んでるようなイメージがありません? なんかね、本当にあんな感じなんですよ。甘い物食べながら、のんびり家にいるのが好きになっちゃって。こういう取材もホントは面倒くさい。だって頭使うでしょう」
身もふたもない言葉が返ってきたが、いまは人生100年時代とも。それを思えば70歳はまだまだ若い。 「僕の父が80歳で亡くなったんです。それを考えるとあと10年しかないでしょ。10年なんてあっという間です。毎日のように考えますよ。あっという間に終わるんだから、“あれを早めに処分しなきゃ”って、部屋の整理をしたりしてね。時間がないなら、うちの女房といる時間を、ただぼーっと見ててももったいない。“一緒にいろんなところに旅行に行ったりしなきゃ!”とかね。そしたら仕事してる場合じゃないですから」