ザラメじゃなくて“飴玉”で!?わたあめ器に情熱を注ぐライソンの製品を使ってまんまるわたあめを作ってみた
夏祭りの定番のひとつである、わたあめ。ここ数年はお祭り以外でも、東京・原宿を中心にカラフルで巨大なわたあめが「SNS映えする」と人気を博している。ザラメを用意するなど、家では作るのが少し面倒というイメージがあるが、最近は飴玉を使って簡単に作れるわたあめ器があるのだとか。 【写真】本当に飴でわたあめが作れるのか?数種の飴玉が意外な結果に それが、ライソン株式会社(以下、ライソン)から発売中のわたあめ器「スイートマルーン」。ライソンは2009年からわたあめ器を販売しており、数種のわたあめ器があるなかでも「スイートマルーン」は“失敗ナシでまんまるわたあめが作れる”というコンセプトのもと、2023年に発売された。 今回は、「本当に家で簡単に作れるのか?」「素人でもまんまるになるのか?」と疑問を抱いた筆者が、実際に「スイートマルーン」を使ってわたあめ作りに挑戦!また、初代・わたあめ器「わたあめ屋さん」と比較してどちらが使いやすいか、検証を行った。 ■第一号は失敗…まんまるの秘密は「スティック」? 手先の器用さには自信アリの筆者だが、わたあめ作りは初めて。早速「スイートマルーン」を開封していくが、かなりコンパクトなサイズ感でセッティングもとても簡単。コードを挿して電源を入れたらすぐに起動した。 今回は誰でも簡単に作れるよう、スーパーで購入できるザラメのほか、フルーツ系の飴とミルク系の飴、のど飴など、手に入りやすい材料で作っていく。味だけでなく色も変化するのかを見るため、色がわかりやすい飴を選んでみた。そして「スイートマルーン」には専用スティックが付いているが、“まんまる”の秘密を探るべく、割り箸でも作ってみることに。 まずは中央の回転皿にザラメを投入。回転皿が十分に温まるまで割り箸を構えて待っていると、うっすらと綿状になった飴が出てきた。思わず「おお~!」と声が出てしまうが、感動している場合ではない。出てきたわたあめを急いで割り箸で絡め取っていく。時折、割り箸自体を回転させながら、わたあめを大きくするつもりで動かしていくが…。 思ったようにわたあめが絡んでくれない。まんまるどころか細長い楕円状のものができ上がってしまった。さらに割り箸だとリーチが短く、指先にまでわたあめが付いてしまい、ベタベタに。おそらく割り箸が細すぎてうまく回せなかったのが原因だろう。記念すべき第一号は少々不格好なものになってしまったが、それでも味は格別で、縁日の記憶が呼び覚まされた。 次は、付属の専用スティックを使ってみることに。先端に球体のようなものが付いている独特の形をしたスティックで、まんまるわたあめが作りやすくなっているそうだ。「こんな小さな差できれいに作れるのだろうか」と、初めてのわたあめ作りが失敗に終わり、その意外な難しさをひしひしと感じている筆者は非常に懐疑的だった。 疑いながら、再び回転皿にザラメを入れてスイッチを入れる。割り箸で作ったときのようにくるくると回しながらわたあめを絡め取っていくと、すぐにその差に気が付いた。割り箸よりも格段に回しやすい。また、スティックにある程度の太さと長さがあるため、わたあめが指に付くことなく作ることができた。肝心のわたあめの形状は、わりばしで作ったときよりも丸い。ザラメの量の関係なのか小さめではあるが、ちゃんと丸いわたあめを作ることができた。 ■飴玉を使うことで味変が楽しめるメリットも 次に、飴玉を使ったわたあめ作りに挑戦。作り方は、回転皿に飴玉をセットするだけでOK。まずフルーツ系の飴を使ってみると、ザラメを使ったときと同様に綿状の飴が出てくるので、専用スティックを使って丸くしていく。ザラメとは少し繊維質が異なり、うっすらとではあるが飴玉の色が出ているようにも思える。味も飴の味そのままで、飴を舐めているときとはまた違った感覚を楽しむことができた。 さらに飴玉の種類を変えて作ってみると、仕上がりに差が出てかなり楽しめた。ミルク系の飴は少し固い繊維質で、出てくるわたあめの量も少なくうまく作れなかったが、どの飴を使ったものよりも味が濃くておいしい。逆にリンゴ味ののど飴を使ってみると、リンゴの風味が消えてしまい薬のような味が…。のど飴はわたあめには向いていなかった。 アレンジの一環として、ソーダ味とレモン味、ソーダ味とブドウ味といった飴玉の組み合わせで作ってみると、風味が混ざって不思議な味わいに。組み合わせは無限にあるように思える。 「スイートマルーン」を存分に楽しんだあとは、ライソンの初代・わたあめ器「わたあめ屋さん」でわたあめを作ってみることに。「スイートマルーン」よりも機械のサイズが大きい分、大きなわたあめを作ることができた。「スイートマルーン」はコンパクトサイズなためスティックを回すのも少しコツがいるが、「わたあめ屋さん」はお祭りのときに見るような本格的な大きさで、初心者はこちらのほうが使いやすい気がする。 気になるお手入れ方法だが、どちらもカバー部分と回転皿は取り外しができて水洗いしやすく、「スイートマルーン」に関しては小さめでより扱いやすい。マンション住まいでも場所を取らないのがうれしいポイントだ。また、本体部分は湿らせた布などで拭きとればきれいに保管ができる。 今回の反省としては、回転皿から出てくるわたあめが思った以上に舞い上がるので、家具にはビニールシートを被せるべきだった。ベッドやソファ、電化製品など水拭きできないものには特に注意が必要だ。筆者はベッドの近くで作業をしてしまい、終わったあとに布団カバーを洗うはめに…。次回はその点に注意して楽しみたい。 ■わたあめへの熱意から、あらゆるわたあめ器の製造へ 家にいながら本格的なわたあめを作ることができる、ライソンのわたあめ器たち。今回使用した「スイートマルーン」と「わたあめ屋さん」以外にも、目的に合わせた製品がいくつも発売されている。なぜここまでわたあめ器に力を注いでいるのか、ライソン株式会社 広報担当の三上紅美子さんに話を聞いた。 2009年に発売された「わたあめ屋さん」は、「『日常に、非日常を』をテーマに、人が多く集まる場で楽しめるものを作りたい」という想いから生まれた。当時はライソンの黎明期で、元会社となる株式会社ピーナッツ・クラブの第二営業部から独立して間もない時期だった。 「独立後のライソンには、なぜかわたあめに並々ならぬ熱意をもった社員が集結していたんです。専用のザラメで作ったほうが舌ざわりもよくて大きなわたあめが作れるんですが、『誰でも手に入れやすい飴玉でわたあめを作れるようにしたい』という想いがあったんです」 そうして何度も試作を繰り返し、「わたあめ屋さん」が完成。大々的な広告を打ち出すことはできなかったそうだが、「家で本格的なわたあめが作れる」という口コミが広がり、その結果、「ジェネリック家電製品大賞」のユニーク家電部門を受賞。同賞は、日本国内で発売される電機大手8社以外の優良な中小家電メーカー製家電製品の品質と安全性の向上、市場拡大を願って2013年10月に一般社団法人ジェネリック家電推進委員会によって設立されたもので、ほかにはない唯一無二の家電として「わたあめ屋さん」が認められたのだ。 「わたあめ屋さん」以外にも、ライソンからは数々のわたあめ器が発売されている。ひとつの製品をブラッシュアップしていくのではなく、用途に合わせて新製品を開発しているのはなぜなのだろう。 「『わたあめ屋さん』の時点でわたあめ器としては完成形で発表しています。ただ、お客様からいただくご要望には応えていきたいので、バリエーションとして数種類のわたあめ器を開発しています。それぞれの製品に特色があるので、どのシリーズも販売を続けていきたいですね。『スイートマルーン』は基本的にファミリー層に人気がある印象ですが、それよりも大きい『わたあめ屋さん』は年配の方が『孫が遊びに来るので驚かせたい』と購入されるケースがあるみたいです」 「すべてのわたあめ器のファンを大切にしたい」。ライソンの熱い想いは、わたあめ器の専用スティックにも表れている。「スイートマルーン」以外のわたあめ器に付属しているのはこん棒のような形状のスティックで、前述した先端に球体が付いているスティックは「スイートマルーン」にのみ付属。単品で購入することもできるそうだが、この独特の形状をしたスティックにはどのような秘密があるのだろうか。 「専用スティックを使った方の口コミを見ていると、『専用のものを使っても丸いわたあめが作れない』という声があり、なんとかしたいと思っていました。そもそも丸いわたあめを作るには、スティックの先端に小さく球状に飴を絡め、そこに巻き付けるようにするのがいいのですが、かなりコツが必要。なので、スティックに最初から球体を付けることにしたんです。これで『丸く作れるようになった』という声をいただけるようになりましたし、何より、スティックを開発することでわたあめの作り方のコツを発信することができました。とても大きな成果だと思います」 ■わたあめの意外な活用方法とおすすめの楽しみ方 お祭りの出店や専門店でしか食べられないと思いがちなわたあめを、自宅で、さらに好きな飴玉を使って作れるライソンのわたあめ器。「お店では体験できないわたあめ作りができ、飴玉ごとにも発見があるのと思うので、理科の実験のような感じで楽しんでほしい」と三上さん。 「そもそも、『家でわたあめが作れる』ということをまだ知らない方も多いと思うので、そういった方々への認知を高めていくような活動をしていければと考えています。夏休みや夏祭りの季節に向けて家電特集を組み、“わたあめ器といえばライソン”というイメージを守っていきたいです」 さらに三上さんは、わたあめの意外な活用方法を教えてくれた。 「ちょっと上級者向けかもしれませんが、何種類も飴玉を使ってグラデーションを作ると味の変化を楽しめます。あとは、炭酸飲料を入れたコップの上に乗せると、いつものドリンクが一気に華やかになりますよ。私はすき焼きを作るときの砂糖の代わりにわたあめを使っているんです。見た目もかわいくて、子どもと一緒に楽しめるのでおすすめです!」 一台あれば、大勢でワイワイと楽しめるわたあめ器。雨が続く日や夏休みにはおうちでお祭り気分を味わってみてはいかがだろうか。 取材・文=織田繭(にげば企画)