南かおりデビュー30年<上> 基本は先輩のしゃべりを「真似ぶ」こと
「先輩のしゃべり」を「真似(マネ)」んだ日々
このほか「あまからアベニュー」「ちちんぷいぷい」(いずれもMBS毎日放送)のリポーターなど、数々のテレビ番組のリポーターもこなしていた。そんな南に「デビューから大忙しでレッスンとかも大変だったのでは?」と質問すると、意外にも「努力というか『こうなりたいな』という気持ちをもってやってましたね。努力っていうと大変じゃないですか」と返ってきた。 「こうなりたい」というからには、目標となる存在があったのかを聞いてみると「鈴木美智子、桜井一枝、鳥居睦子」という名前が挙がった。 そして「先輩のしゃべりを聞くのがいちばん勉強になりました。私たちは『学ぶは真似(マネ)ぶ』って習いましたから。この人みたいにしゃべってみたいって思うことがすごく大事でしたね。『ワーズワースの冒険』をビデオに録画して、担当されていた近藤サトさんの話す部分をノートに書いて、同じように読んだら『間』がわかってきたり。そういう思い出はいっぱいありますね」と振り返る。
「好きなことをやれる自分はありがたい」
それはテレビ、ラジオといったメディアによって対応のベクトルは違う。テレビなら「こんなショートケーキが」とひと言で紹介できても、ラジオでは聴いている人がどんなケーキかを想像できるように『高さ何センチのところにイチゴがのって』と話すが、その話し方も説明くさくならないよう、おいしそうな雰囲気を残して聴いてる人が想像できるよう、すべてを描写するしゃべりを心がけている。 また、イベントMCの仕事の際は「目の前にいる人たちと同じ時間を楽しく共有する」ことを心がける。デビュー当時から気になるイベント会場に出かけては、イベントMCの言葉から、どんなしゃべり方をしていたか。音楽のライブを観にいっては、前説担当者がどんなスピードで、どんな内容のしゃべり方をしたら、みんなが耳を傾けていたかを調べにいったりもしていた。 「好きなことをやれるうれしさ、楽しさ。そういうことをさせてもらえる自分がありがたい。そして、もうすぐ50歳になるんですけど、リスナーさんから『あの時こうでしたよね』と言われると、このうれしさは長くやってきた特権と思いますね」と笑顔をみせる。