堺雅人と井川遥が共演。35年越しの切ないラブストーリー「平場の月」
第32回山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみの同名小説を原作に、キャストに堺雅人と井川遥を迎えて35年越しの恋愛を紡いだ「平場の月」が、2025年秋に全国公開される。 妻と別れて地元に戻り、印刷会社に再就職して慎ましく暮らす青砥(堺雅人)。夫と死別し、パートで生計を立てる須藤(井川遥)。ともに独り身となり人生経験を積んだ二人は、中学生時代以来35年ぶりに再会し、意気投合する。 ある日、アパートの部屋から月を眺めていた須藤は、何を考えていたのか青砥に問われて答える。 「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね。ちょっと」 50歳にして初めて、自然に惹かれ合うようになった二人。やがて未来のことも話すようになるのだが……。 堺の映画主演は「DESTINY 鎌倉ものがたり」以来8年ぶり。監督は「花束みたいな恋をした」の土井裕泰、脚本は「ある男」の向井康介が担当。土井監督は撮影現場での両キャストについて、「堺さんは、原作や台本もボロボロになるまで読み込んで、情報をすべて取り込んでいるが、最後は削ぎ落して、そのまま立っている感じがします。現場で堺さんのお芝居を見て、青砥ってこういう人なんだと教えられるような、青砥をわかっていくことが多いです。青砥という人が堺さんの中にあると思いますが、こちらの要求にも柔軟に対応してくれ、堺さんと役を作っていくのが本当に楽しいです」「井川さんとは、以前ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』でご一緒した際に、この須藤のような“太いところがある人”と感じていました。須藤は一筋縄ではいかない難しい役です。須藤のシーンを撮影する度に井川さんとお互いに持ち寄って、見つけながらやっているような感じです」と語っている。リアルで切ないラブストーリーに注目だ。
〈コメント〉
■堺雅人 青砥役のオファーをいただき、原作を読みましたが、原作小説の世界が素晴らしく、豊かなので、ぐいぐいと引き込まれ、何度も何度も読み返しました。今回、原作に登場する場所で撮影し、いち原作ファンとしては聖地巡りのような、本当に夢のような日々が始まったなと感じています。 僕が演じる青砥は井川さん演じる須藤あっての青砥だと思っています。撮影が始まり、役としての井川さんと出会って、須藤の横にずっといたいなという気持ちが強くなりました。また、土井監督は大学の演劇研究会の先輩にあたり、ずっとご一緒したかったので、今回念願叶ってとなります。土井監督は物腰が柔らかく、丁寧に説明してくださり、役者が伸び伸びと動けるようにしてくださる印象です。これから撮影が続きますので、監督のおっしゃった通りに動きたいと思っています。 ■井川遥 須藤は青砥と再会したことによって、そこから慎ましやかだけれども気持ちが少しずつ膨らんでいく。この2人を応援したくなりました。私自身、この年齢になったからこそわかる気持ちが原作の中に溢れていて、温かさや切なさも同時にあるこの本を愛おしく感じました。 今回、私が演じる須藤は自分の弱さを見せまい、寄り掛かることをよしとしない覚悟を持って生きている人です。須藤の芯の強さ、意地らしさ、今ささやかな幸せを噛みしめている感じ、それら彼女の持っているものを大切に演じたいと思いました。堺さんは懐が深く、温かくて包み込んでくれるような方です。年齢を重ねてまたご一緒できること楽しみにしていました。土井監督とは今回2作目になりますが、大変嬉しく思っています。その役の持っているもの、滲み出てくるものなど丁寧に教えてくださるので、監督についていきたいと思います。 ■原作者・朝倉かすみ 「平場の月」はわたしにとって初めての映像化作品になります。 もちろん映像化というものへの関心はありました。それは著作が異なるメディアで展開されるのを観てみたい、という圧倒的なミーハー魂と、わたしがひとりで書いたものを、わたしではない人たちがチームを組んで表現したらどんなふうになるのだろう、という純然たる好奇心の混ざり合ったものでした。 ミーハー魂は、「ピッタリ!」のキャストやスタッフを妄想させ、好奇心は、わたしが紙やモニタなどの平面に文字で描いたシーンが立体となったときの驚きや喜びを想像させました。シーンといっても具体的なものではなく、わたしが書くときに大事にしている三つ(ディティールと、実感と、イノセンス)が感じられるかどうかがポイントでした。 そんな我儘すぎるあれこれが、どんどん「ほんとう」に―それはもう思った以上に「ほんとう」に―なっていく不思議を、今、味わっている最中です。
「平場の月」
出演:堺雅人、井川遥 原作:朝倉かすみ「平場の月」(光文社文庫) 監督:土井裕泰 脚本:向井康介 製作:映画『平場の月』製作委員会 ©2025映画「平場の月」製作委員会 公式サイト:https://hirabanotsuki.jp/