津山の歴史を物語る遺物に関心 郷土博物館の特別展 貴重な品70点展示/岡山・津山市
津山郷土博物館(岡山県津山市)特別展「考古資料は語る!美作津山の古墳文化」が開かれ、市内の古墳から見つかった4世紀後半から7世紀にかけての津山の歴史を物語る遺物に来場者たちが関心を寄せている。15日まで。 【写真】昨年無事に発見された田邑丸山2号墳の三角縁神獣鏡
美作地域で古墳研究が始まるきっかけとなった1873(明治6)年建立の古冢碑(ふるつかひ)=日上=の碑文のほか、本格的な調査が始まった1950(昭和28)年から近年までに発掘された土器や鏡、埴輪、宝飾品など計70点を展示。
中でも田邑丸山2号墳(下田邑)から出土した「三角縁波文帯三神二獣博山炉鏡」は市内で唯一確認された「三角縁神獣鏡」の一種で、大きさ直径21.6センチ、3体の神と2体の獣、香炉の模様が特徴。1959~60(昭和34~35)年に盗掘被害に遭ってから長い間所在不明となっていたが、昨年11月に京都府で開催したオークションで発見され、同志社女子大学の山田邦和教授が入手して散逸を防いだことで今回初めて原物を公開できるようになった。
市指定史跡の奥の前1号墳(油木北)から発掘された「堅矧板革綴短甲(たてはぎいたかわとじたんこう)」は、鉄を革ひもで結び付けた鎧(よろい)とみられ、大阪府の紫金山古墳、山梨県の大丸山古墳に次いで出土が3例目となる珍しい出土品。このほか会場には古墳時代に市内で独自の文化が栄えたとみられる貴重な資料が並ぶ。
過去に発掘作業にも携わった経験のある河辺の末澤敏男さん(91)は「これだけ貴重な品が集まるのもめずらしい。それほど古代の津山には権力のある人がいて栄えていたのではと推測する。見ることができてよかった」と話していた。
津山朝日新聞社