強肩は全盛期の小林誠司より上? 巨人の若武者が「阿部野球」の申し子に
高校では奥川恭伸とコンビ
ソフトバンクの黄金時代を支え、侍ジャパン常連の甲斐拓也が一目置く強肩の捕手が、巨人・山瀬慎之助だ。 【選手データ】山瀬慎之助 プロフィール・通算成績 スポーツ紙記者は、「肩の強さで言えば球界トップクラスです。小林誠司の全盛期より上なのでは。送球も正確なので大きな武器になる。2月の春季キャンプは一軍スタートなので大城卓三、岸田行倫に食らいついていけるか。まだまだ攻守でレベルアップが必要ですが、将来の正捕手候補であることは間違いない」と期待を込める。 星稜高で高校球界を代表する捕手として名を轟かせた。山瀬で連想するのが、奥川恭伸(ヤクルト)とのコンビだ。小4からバッテリーを組み、中学時代は軟式野球大会で全国制覇。星稜高に進学すると1年生で共に主力になり、2年春から4季連続甲子園に出場し、3年夏は準優勝に輝いた。 糸を引くような軌道の強肩は高校レベルを超えていた。巨人にドラフト5位で指名されたが、運命だったのかもしれない。名前の由来でもあり、幼少時からあこがれた阿部慎之助二軍監督(現監督)の指導を受けた。ティー打撃の個別指導では、「キツい練習は覚悟していましたけど、もう限界です」苦笑い。それでも、期待の大きさは伝わっている。「あこがれの人から指導を受けるのは恵まれたことだと思います。幸せを感じながらやっています」と目を輝かせていた。
勝負の怖さも味わって
阿部監督が現役引退し、二軍監督に就任したのは20年。入団1年目の山瀬はファームで薫陶を受けてきただけに、目指す野球の方向性は理解しているだろう。攻守でメキメキ力をつけている。22年は開幕一軍入りを果たすと、6月9日の西武戦(ベルーナ)に「九番・捕手」でプロ初スタメンを飾り、4回に隅田知一郎からプロ初安打をマークした。翌10日の楽天戦(楽天生命パーク)では戸郷翔征とバッテリーを組み、プロ初完投勝利に導くなど4試合連続先発マスクをかぶった。 勝負の怖さも味わった。昨年4月27日の阪神戦(甲子園)では先発の山崎伊織が3回途中8失点KOを喫し、山瀬は5回から途中出場でマスクをかぶったが、勢いに乗る阪神打線を止められず7点を奪われて計15失点。先発マスクをかぶった5月5日の中日戦(バンテリン)では3対2と1点リードの8回に、一挙6点を奪われて逆転負けを喫した。もちろん、山瀬1人の責任ではないが、白星に導くことで首脳陣の信頼を高められる。悔しさは大きかっただろう。5試合出場で打率.143、0本塁打。5月28日にファーム降格すると、再昇格は叶わなかった。