沿岸漁業水揚げ量6530トン 福島県内2023年、震災以降最多を更新 県漁連が速報値示す
2023(令和5)年の福島県内沿岸漁業の水揚げ量(速報値)は6530トンとなり、2022年の5535トン(速報値)から18%増加した。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故以降で最多を更新した。昨年8月に処理水の海洋放出が始まったが、影響は少なく、水揚げ量は順調に推移している。30日にいわき市で開かれた県漁協組合長会で示された。 水揚げ量は相馬双葉、いわき市、小名浜機船底曳網の3漁協の合計値。県内沿岸漁業は現在、本格操業に向け取り組んでいる。国の助成事業「がんばる漁業復興支援事業」の活用による出漁船や出漁日数の増加で、緩やかに回復している。ただ、原発事故発生前の水準と比べ、水揚げ量は25%ほどにとどまっている。各漁協は引き続き段階的に拡大していく方針。 水揚げ金額は39億8593万円で、前年の34億9794万円(速報値)より14%増加。魚種の1キロ当たりの単価が高くなったことも要因だという。
県漁連の野崎哲会長は報道陣の取材に対し、「水揚げ量は順調に推移している。国の復興支援事業などを通じて原発事故前の6割ほどに回復させたい」と目標を語った。 会議では野崎会長が「(処理水の海洋放出について)引き続き注視しつつ、福島の漁業を一歩一歩前に進めていきたい」とあいさつした。東電の担当者が2024(令和6)年度の海洋放出の計画などを説明した。